金剛山とは


 金剛山は、朝鮮半島では白頭山(中国名:長白山)と並ぶ名山と呼ばれています。
 金剛山は朝鮮半島の分水嶺をなす太白山脈の北部をなし、行政的には朝鮮半島の江原道(カンウォンド:道とは、日本で言えば県を大きくした感じの行政単位)の東北部にあります。金剛山は現在、そのほとんどが朝鮮民主主義人民共和国領内(北朝鮮)にあり、北朝鮮では現在、金剛山は『東西40キロ、南北60キロ、面積530平方キロ』の地域を占めているとされていますが、当然金剛山の範囲をどのように取るかでその数値は変わってきます。いずれにしても“東西南北数十キロ”の地域を示すのならば、日本の感覚では○○山というよりも、○○山地(例えば熊野山地とか、秩父山地とか)という印象に近いと思います。
 金剛山は海に近い方から大きく海金剛・外金剛・内金剛に分けられます。海金剛は文字通り海沿いですが、外金剛と内金剛の境は、太白山脈の分水嶺だと思っていただければよいです。


内金剛 外金剛 海金剛

















九成地区

太上地区
毘盧峰地区
白雲台地区
万瀑地区
望軍台地区
万川地区
明鏡台地区










《別金剛》
白鼎峰地区(小金剛)

仙蒼地区

千仏洞地区


《外金剛》
万物相地区
水晶峰地区
温井地区

九竜淵地区
仙霞地区
鉢淵沼地区



《新金剛》
松林地区


隠仙台地区



国島

洞庭湖(洞庭湖地区

天鵝浦

侍中湖



叢石亭地区















三日浦地区
海金剛地区


永郎湖


鑑湖
(軍事境界線)

(高城統一展望台)





花津浦

 ずいぶんと乱暴な表ですが……一応これが金剛山の概念図です(笑)。上が北、下が南、右が東、左が西です。先にも述べたように、金剛山は大きく分けて内金剛・外金剛・海金剛に3分されていて、また現在、金剛山は22ないし23地区にも分けられています(注)。この表ではそれらの大体の位置関係を現してみました。もちろん大体ですので、上下左右(東西南北)の関係も、大体のことだと思ってください。
 また、太字が一番狭い意味での金剛山。斜字が一般的には金剛山に含める場合が多い地区。そして普通の字で表示されている部分は、広い意味での金剛山に含めることがある地域です。また、( )の中は、特に金剛山とは関係のない地名ですが、参考までに表示しました。
 朝鮮半島の地理に明るい方が見ればわかると思いますが、(軍事境界線)とは、韓国と北朝鮮の境であり、(高城統一展望台)と、花津浦の2ヶ所のみ韓国側の地名で、あとは全て北朝鮮側であることが理解していただけると思います。
 ところでここで紹介している金剛山23地区の分け方は、現在の北朝鮮式分け方です。この区分けの基準にはよくわからない点があり、はっきり言って使いにくい面もありますが、現在の金剛山ガイドブックは、北朝鮮のものも韓国のものもこの地区分け方式に従って記述されていることが多いため、ここでも北朝鮮式23地区に区分けして金剛山の説明をしていきたいと思います。

 それぞれの地区の説明についてですが、出来れば実際に行ってみてから書きたかったのですが、現状では23地区の中で6地区くらいしか行くことが出来ないのです。そして何とか行くことが可能な6地区も、その地区内の多くの場所に立ち入ることが出来ないのが現状です。つまり実際に行ってから説明を書くとなると、いったいいつ完成するのやら全く見当もつかないのです……
 そこで行くことのできない地区については、各種のガイドブックなどからの引用の形で作りました。利用した資料は【参考文献】に記しておきます。資料は北朝鮮の発行しているガイドブック・写真集と戦前の日本のものが多いです。ちなみに韓国の金剛山関連の資料も北朝鮮や旧日本時代の資料をかなり引用しているようで、特に写真は相当使われています。
 地図についても参考までに載せてみました。金剛山協会が発行した1939年の地図を使っている地区が多いですが、一部朝鮮総督府刊の5万分の1地図を使いました。日本時代の金剛山地図は、発行されている北朝鮮時代の金剛山地図と較べてもはるかに内容が良く、韓国で出されている地図でも参考にしているようです。
 また、現在の金剛山観光で見ることが可能な場所で、のりまきが実際に行った場所については、写真集を作りました。
 ということで本当の意味での完成まではいったい何年かかりますやら……ひょっとしたら、ライフワークのひとつになってしまうかも(笑)


(注)金剛山の地区分けは、ほとんど22地区で区分けされた文献が多いのですが、最新の資料である『地名事典・江原道』(科学事典出版社)によれば、広い意味の海金剛の北部に『洞庭湖地区』が設けられています。また、海金剛地区を海万物相地区としている点もこれまでと違う点です。
 なお、北朝鮮式区分けの正式名称は“区域”という呼び名ですが、ここでは地区という日本の私たちが良く使う表記にしました。


のりまき・ふとまき撮影・金剛山写真集は、こちらからもどうぞ_(._.)_


【参考文献】

(北朝鮮発行のもの)
金剛山:外国文出版社・1981年発行
金剛山:朝鮮画報社・1991年発行
朝鮮観光案内:朝鮮新報社・1992年4月発行  
朝鮮観光地図帳:朝鮮国際旅行社・1995年4月発行
MT.KUMGANG:観光宣伝通報社・発行年不明・
地名辞典・江原道:科学百科事典出版社・2002年3月発行

(韓国発行のもの)
最新北韓地図・佑晋地図文化社・1992年10月発行
金剛山は呼んでいる(少々訳に自信なし…)朝鮮日報社・1998年9月発行  
金剛山の観光コース・現代峨山株式会社(2001年、初回の金剛山旅行の際にいただいた資料です)

(旧日本時代の資料)
金剛山:朝鮮総督府鉄道局・1928・1932・1933・1935・1938年版
朝鮮金剛山:梅田写真館・1929年発行
萬二千衆峰朝鮮金剛山:朝鮮総督府鉄道局・1929年発行
金剛山:徳田写真館・1930年発行
朝鮮金剛山:日之出商行・1936年発行
朝鮮金剛山大観:徳田写真館・1935年発行・
金剛山:財団法人金剛山協会・1940年発行
金剛山:日本旅行協会朝鮮支部・1939発行
京城と金剛山:京城真美会・1932年発行
金剛山電気鉄道ニ十年史:金剛山電気鉄道・1939年発行
朝鮮地質調査要報第七巻:朝鮮総督府地質調査所・1926年発行
朝鮮の聚落:朝鮮総督府・1933年発行
金剛山探勝コース図:金剛山協会・1939年発行

あと、金剛山のホームページ(日本語版)を、大変参考にさせていただきました。


(2004・5・16 最終更新)


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