九竜淵地区
(クリョンヨン地区)


九竜淵地区地図
財団法人金剛山協会発行・金剛山探勝コース図・1939年より )


九竜淵地区は外金剛の万物相地区、内金剛の万瀑地区と並び
昔から金剛山の中でも有名な地区です。
特に事実上内金剛の観光が行なわれなくなった現在では、
九竜淵地区は金剛山一の有名地区であるといっても過言ではありません。


 九竜淵コースは現在のところ金剛山観光最大の目玉です。同じくらい著名な万物相地区がかなり険しい山道を歩かねばならないのと較べて、このコース最大の見どころである九竜の滝までは、渓流沿いのゆるい上り坂を登るのみで行けるため、子どもからお年寄りまでの多くの人に金剛山の美しさを味わってもらえることが大きいのだと思います。
 九竜淵コースは温井里から低い峠を越えると、神渓川に沿って始まります。まず神渓川沿いの松林は『チャント松原』といい、昔から有名な松林です。そして川沿いにを遡ると、左手に仙霞地区の動石洞への道を分けた後、神渓寺の跡が現れます。神渓寺は金剛山四大寺のひとつで、北朝鮮時代になって『外金剛博物館』となっていましたが、1950年からの朝鮮戦争で焼失してしまい今は跡だけが残っています。
 神渓寺跡から更に遡ると、やがて車道が終わります。歩き出すとまもなく、木蘭館(モンラングァン)が見えてきます。木蘭館は温井里にある金剛山旅館の支店として、かつて金剛山ハイキング客に食事を提供していたレストランで、なかなか周りの山々とも調和した良い建築です。ちなみに木蘭とは日本名『オオヤマレンゲ』と呼ばれるモクレン科の植物で、北朝鮮の国花となっています。
 木蘭館から先は金剛山の絶景が連続していきます。まず仰止台と言う名の周囲の景色を楽しめる平たく大きな岩が現れます。その先には参鹿水と言われる、一口で10歳若返るという『若返りの名水』の湧く場所があります。
 その先に行くと『金剛門』が現れます。ここは大きな岩が重なって門のようになっている場所で、金剛山にある五大金剛門の中でも最も著名なものと言われています。
 金剛門の先からは渓谷美の極致と言われる『玉流洞』が始まります。玉流洞に入って最初の名所は玉流潭です。エメラルド色の玉流潭には天然の巨大な滑り台の一枚岩の上を白糸のような水が流れ落ちる玉流の滝からの水が流れ込み、周囲の山々の光景とも相俟って、大変に美しい場所です。
 その先には碧い玉を二つ連ねたような連珠潭と、連珠潭に注ぎ込む連珠の滝があります。その先には金剛山4大滝のひとつ、飛鳳の滝がその特異な姿を見せています。飛鳳の滝は水量こそ少ないものの、高さ約140メートルもの階段状の絶壁を流れ落ちる姿が、さながら空に向かって翼を広げる『鳳凰』の姿のようだということで『飛鳳』という名がついた名瀑です。また飛鳳の滝の滝壷である鳳凰潭には、舞鳳の滝も流れ込んでいます。
 さらに登っていくと道が二手に分かれます。道の分岐点の場所から右奧には銀絲流と呼ばれる、細いながらも美しい渓谷が望めます。道を進行方向右手に取って、険しい道を約30分登ると九竜台という展望台に到着します。ここからは九竜の滝の上流にある8つの沼、上八潭の絶景を見下ろすことができ、更には鋸歯状をした世尊連峰の壮大な光景を望めます。
 分岐点まで戻り、もう一方の道を登っていくと、まもなく水簾の滝という小さいながらも形の良い滝を過ぎます。そして目の前に金剛山四大滝のひとつであり、更に朝鮮三大滝のひとつでもある名瀑中の名瀑、九竜の滝が現れます。
 九竜とは元来滝壷の名前で、もともとの名は衆香瀑と呼んだそうです。しかしいつしか九竜の名が定着し、現在では九竜の滝とか九竜瀑布と呼ばれるようになっています。九竜の滝は落差74メートル、花崗岩の一枚岩を豪快に流れ落ち、深さ13メートルもある九竜淵という名の滝壷に流れ落ちていきます。九竜とはその名の通り、昔、九匹の竜が隠れ住んだことがあるとの伝説によって名づけられたそうです。
 九竜の滝と九竜淵を望む場所には観瀑亭という名の東洋建築があります。周囲の景色とマッチしたなかなか感じの良い建物です。また、九竜の滝の右手岩盤には1920年に刻まれた『彌勒仏』の巨大な文字が見えます。



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参考リンク
九竜淵コース見取り図