万物相地区
(マンムルサン地区)


万物相地区地図
財団法人金剛山協会発行・金剛山探勝コース図・1939年より )


 万物相地区は外金剛地区、いや、金剛山でも有数の景勝地です。
 万物相地区の見どころは地区内のあらゆる場所で見られる奇岩・怪石と、美しい眺望にあります。万物相の奇岩・怪石の中から万物の姿を見ることが出来ると言われていて、それが万物相の名の由来となったとのことです。また、万物相は天地創造の前に神が試しに作った『万物の雛形』であるとの伝説もあります。
 万物相地区は温井里から温井川を遡って行きます。温井川は次第に急流となって、両脇から険しい山が迫る渓谷、『寒霞渓(ハンハゲ)』『万相渓(マンサンゲ)』となります。寒霞渓は下流側の名称で、万相渓は上流側の名称です。いずれの渓谷も両脇の奇岩怪石が連なる険しい山々の中、巨岩の間を水が流れるなかなか見事な渓谷となっています。渓谷には観音の滝・六花岩という名所もあります。
 渓谷を遡っていくと万相亭という万物相の入り口にあたる場所に着きます。昔はここに茶店があったそうですが、今は少し奧の方に日本の低山などでも見られるコンクリート製のあずまやが建っています。ちなみに渓谷をもっと遡ると温井嶺というという峠を越えて内金剛に行くことが出来ます。
 現在の金剛山観光でも万相亭までバスで行き、そこから万物相に向かいます。万物相コースに入るとすぐに三仙岩と鬼面岩という奇岩があります。三仙岩とは天に向かって伸びるような三つの岩があり、鬼面岩は鬼の顔が見えるような巨岩です。その先にも七層岩や折斧岩などといった奇岩があります。
 これから先は急傾斜の山道を登ります。途中安心台というひと息つける場所があります。そこから眺められる景色も絶景だそうです。ここから先に行くと分岐点があり、道を右にとると望洋台というはるかに海を望める展望台に行きます。もちろん望洋台も奇岩怪石の中にあります。
 分岐点から左に進むと万物相地区のほぼ中心にあり、金剛山中でも有数の展望台、天仙台という展望台に行きます。途中飲むと杖を忘れるほどの力が湧いてくるという、忘杖泉という湧き水があります。更に天仙台の直前にハヌルムン(天の門)といわれる石の門を通ります。
 天仙台はそのあまりの美しさに天から仙女が降りて遊んだといわれる場所で、天仙台の外れには天女が化粧をしたという『天女化粧壺』という水溜りもあります。ちなみに天女化粧壺に湛えられた水はどんな日照りにも涸れることがないそうです。天仙台からは万物相の絶景はいうまでもなく、外金剛の峰々が織りなす絶景を遠望することができます。


萬二千衆峰朝鮮金剛山(1929年・朝鮮総督府鉄道局)より、奧万物相




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参考リンク
万物相コース見取り図