金剛山観光について
(観光コース・観光施設について)

(2006・9・4 最終加筆)


まず韓国からの金剛山観光コースがどのような観光コースであるのかについてですが、まず、以下のリンクから飛ぶことが出来る現代峨山作成の金剛山観光コース見取り図を参考にしてみてください。

1・九竜淵コース
2・万物相コース
3・三日浦・海金剛コース
4・動石洞・世尊峰コース

 上記コースのうち、4の動石洞・世尊峰コースは、実際のコースとしては世尊峰に登頂して九龍淵コースの九龍の滝まで下るコースとなっています。また、最近は新たなコースとして水晶峰コースが出来ています。

 金剛山は大きく分けて内金剛・外金剛・海金剛の三地区に分けられていますが、九竜淵、万物相、動石洞はともに外金剛にあり、三日浦・海金剛は両方とも海金剛にあります。
 九竜淵コースは渓谷や朝鮮三大滝のひとつである九竜の滝などが著名なコースで、万物相コースは奇岩怪石連なるこれもまた昔から外金剛有数の観光名所でした。
 三日浦は鏡のように澄んだ湖が美しく、海金剛も青い海に浮かぶ島々の美しさや、波間に洗われる奇岩・怪石の姿で古くから有名でした。動石洞は他のコースよりも少々知名度が落ちますが、その渓谷美はなかなかのものとされていて、観光コース的には良い選択をしていると思います。しかし、内金剛の万瀑洞など、まだ行くことが出来ない金剛山の観光スポットはたくさんあります。
 2003年後半には、旧日本植民地時代から金剛山本格登山コースのひとつとされてきた、動石洞ー世尊峰ー九竜淵周遊コースが開放させるという話があって、実際2003年7月終りには韓国マスコミを招待してコースの下見が行なわれました。その後、実際に金剛山観光客に開放されました。このコースは山道を8〜9時間かけて歩くとい本格的登山コースで、金剛山に登山を求めるニーズにはついてはかなり対応できるようになりました。
 2005年になって、今度は温井里の裏山になる水晶峰コースの観光が始まりました。動石洞・世尊峰コースと水晶峰コースは一週間前の事前予約が必要なコースとなります。
 また今後は金剛山最高峰の毘盧峰、そして内金剛や海に屹立する玄武岩の柱状節理が見事な叢石亭が開放されるという話もあります。

 北朝鮮観光という面からしても、通常の北朝鮮観光以上に『人民』から隔離され、接触が出来ない金剛山観光コースは不満に感じることが多いのが現状です。金剛山観光コースは金網で周囲と隔離され、観光コースから見える現地の集落には目隠しのためと思われるコンクリートの壁が立てられています。その上、北朝鮮の兵士たちが道の一定間隔に立っていて観光客の行動を監視している念の入れ様です。
 総じて現在の金剛山観光コースは、金剛山観光という視点からすると、かつて朝鮮半島一の観光地であった金剛山の魅力の一端を感じることはできますが、金剛山の魅力を堪能するとまではいかず、『隔離観光』のように不自然な点が多い観光です。
 それぞれのコースの紹介については、今後“金剛山について”のコーナーで徐々に行っていきます。また、よろしければのりまき・ふとまきの金剛山観光旅行記(2001年 雪峰の夢2002年 嵐の万物相)も参考にしてみてください。

金剛山の観光施設は、観光日程のところでも触れたのですが、
@温井閣
A金剛山温泉
B金剛山文化会館
C海水浴場
D雪遊び場
があります。

 2003年12月の金剛山旅行の際には、同12月中のオープンを目指し、簡易スキー場を備えた雪遊び場が建設中で、実際に2003年12月31日にオープンしました。また、今後ケーブルカーやゴルフ場の建設も予定されています。

以下に各観光施設の簡単な説明を載せたいと思います。

〜温井閣の説明〜

 温井閣は金剛山観光の初期から存在した西館と、2005年に完成した東館があります。西館は金剛山観光客がお土産物の買い物をする売店や、昼食・夕食を摂る大食堂などもあって、金剛山旅行中には何かとやっかいになることが多い施設です。その他、温井閣西館内には韓国国内での論議の末に2002年春に開店した免税店と、韓国の忠清南道に本社がある、かぼちゃ飴実演販売の『鎮川(チンチョン)食品』の金剛山支店があります。
 温井閣東館は食堂の施設が充実しています。一階は韓国国内の洒落た食堂といった感じで、各種の食事が取れます。二階は喫茶店になっていて、お茶やコーヒーをを飲むことができます。
 また、温井閣の敷地内には2002年11月以降、コンビニエンスストアーも出来ました。その他、フィルムの販売と現像を行なうコダックの写真館、診療所が同じ敷地内にあります。

 西館にあるお土産物は、日本の観光地でもありそうな絵はがき・ピンバッチなどの金剛山観光グッズとともに、北朝鮮物産を購入できることが注目点でしょう。北朝鮮物産の中では、酒・タバコ類が意外と充実しています。ただし一般的に酒・タバコともに日本人の口に合うとは言いがたいです。その他の土産物の品数は決して多くはありませんが、北朝鮮のお菓子などなかなかユニークなお土産も売っていますので要チェックです。ちなみにお菓子は素朴な昔懐かしい味がして、決して悪くないと思います。
 金剛山のお土産で見当たらないのが、『金日成・金正日親子を称える著作』など、いわゆる北朝鮮らしいプロパガンダ商品です。これは今でも法律上では北朝鮮のことを『反国家団体』と指定している韓国にとって、金親子を称えるプロパガンダ商品を韓国国内に持ち込むことは都合が悪いことに当たるからだと思われます。
 温井閣の大食堂で出される食事料金は昼食・夕食ともに10ドルです(2003年秋に9ドルから値上げされたようだ)。料理はバイキング形式でボリューム・味ともに合格点をあげられるのではないでしょうか。2回目の金剛山観光の時のガイドさんによると、温井閣の料理は現代百貨店から派遣されているコックが調理しているとのことなので、それなりの水準を保っているのでしょう。ただ、料理の内容がやや単調であるので金剛山旅行後半になると少し飽きがくるかもしれません。また麺類など一部の料理は観光客の人数分より少ない数しか出さないため、場合によってはありつけないこともあります。まあ、でもこれはバイキング全体に言えることでしょう。
 また2回目の金剛山観光の時のガイドさんによると、食材については、野菜は金剛山近郊の農場で契約栽培をしたものを使っているのですが、肉や魚などは韓国からわざわざ持ち込んでいるそうです。これではせっかく北朝鮮の金剛山に行ったところで、旅行の楽しみの一つである『地元の味』などは全く楽しめないわけです。ちなみに金剛山近郊の農場で生産された『野菜』は、金剛山のお土産としても売られていることもあります。
 免税店は2002年7月時点では規模的には駅にあるタバコ屋程度のもので、品物も洋酒とタバコくらいしかなく、お客も少ないようでした。しかし2003年12月には欧米の有名ブランド品なども扱うかなり充実したものへと変貌を遂げていました。
 かぼちゃ飴製造実演販売の『鎮川食品』は、温井閣の駐車場脇のわら葺屋根の建物で営業していましたが、2003年12月には温井閣の建物近くに移動し、さらに最近は温井閣西館内に移動しました。。かぼちゃ飴はきなこ飴のような味が素朴でなかなか良いです。残念ながら金剛山のかぼちゃを使っているわけではなさそうですが、1箱2ドルと値段も手ごろなので、観光コースに持っていってハイキング中になめてみたり、韓国土産のひとつとして買ってみるのも良いと思います。

 東館は先にも書いたように洒落たレストラン感覚のお店があります。たとえていうなら新しいデパート内の食堂といった感じもします。出てくる料理の印象もそんな感じです。それなりのお味なのですが、わざわざ北朝鮮の金剛山へ行って食べるものではない感じです。ただ、金剛山に赴任している現代の社員たちにとってみれば、「フライドチキンが食べたくなったら東館の食堂に行く」。というように、利用価値がある場所のようです。今後、金剛山に長期滞在する観光が開始された場合、お世話になることも出てくると思います。

 コンビニエンスストアーは、陸路観光開始に伴って観光客が増えることを見越して建てられたのではないかと思われます。実際、金剛山の各観光コースに向かって出発する前に、お菓子や飲み物を買いたいと思っても適当な物を買う場所がなかったので、コンビニは何かと重宝すると思います。ちなみにコンビ二は『ファミリーマート』です。
 コダックの写真館はフィルムの販売・現像を行なうとともに、写真館のスタッフが観光客とともに各観光コースに同行して、景色の良い場所で記念写真を撮影してくれます。撮影した写真はすぐに現像して金剛山から出発する前には手に入れられるようになっています。記念撮影用の大きな写真できれいに撮ってくれますし、値段も一枚5ドルとお手ごろです。金剛山旅行の記念として記念写真撮影をお願いしても良いと思います。また、写真館で販売しているフィルムは値段が高いです。写真撮りすぎのりまきは金剛山のコダック写真館でフィルムを買いましたが(笑)、フィルムは金剛山で買わない方が良いと思います。


 温井閣の駐車場にはかつて貸し自転車屋がありました。レンタル料は1ドルと安かったのですが、自転車を借りたところで単に温井閣周辺を走り回れるだけですのでほとんど意味がありませんでした。もちろん誰も自転車を借りている様子はなく、2003年12月には貸し自転車店は無くなっていました。
 貸し自転車は無くなりましたが、そのかわりというか花馬車という馬車と蒸気機関車の格好をした遊園地などにあるような乗り物が出来て、温井閣の駐車場でお客を待っています。正直、子どもたちが喜びそうな乗り物で、遊園地でもない金剛山に似合わないと思うのですが……


〜金剛山温泉の説明〜

 のりまきが見るに金剛山温泉は金剛山観光施設の白眉だと思います。入浴料金は大人12ドル。高校生までの学生は10ドル、8歳以下の子どもは8ドルのようです。また、二回分の入浴券をまとめて買うと20ドルになるので、実質一回10ドルとなります。(二回分買うと、学生と子ども料金がどうなるのかは未確認)。韓国の物価を考えるとかなり高い印象がありますが、満足度を考えると決して高くないと思いました。
 金剛山温泉は温井閣から徒歩で約10分ほどの場所の、鷹岩山のふところに抱かれるような場所にあります。温泉の源泉は1.8キロほど離れた場所(北朝鮮の建てた金剛山旅館などがある、温井里の温泉場)にあって、地下203メートルから汲み上げているそうです。
 金剛山温泉では源泉から汲まれた100%天然温泉を楽しめる施設です。スタッフの人に確認しましたが、金剛山温泉は文字通り源泉かけ流しだそうです。源泉の温度が40〜50度程度と、入浴に都合が良い温度であるという恵まれた条件もあります。
 もともと金剛山温泉の源泉は一ヵ所で、韓国側の金剛山温泉とともに、以前からある北朝鮮側の金剛山温泉(金剛山ホテルから万物相方面へ少し向かった場所にある)と共用していたそうですが、金剛山観光客が増えたため、新たに韓国側の金剛山温泉用に源泉を掘削したといいます。
 実際、温泉は広くてかつ清潔、洗い場も広くてシャワーも完備しており、とにかく大変に心地よく温泉を堪能できます。サウナも男女ともに3ヶ所もあり、露天風呂も広く快適です。
 設備的には、最近日本の各地で建てられている温泉付きの保養施設にあるものはだいたい備わっています。ただ、石鹸だけでシャンプーが備え付けられていないことと、タオル以外にもあかすりタオルも備え付けられている点に違いがあります。とにかく広さや清潔感などを考えると、施設の充実度は日本の同様施設を上回るものがあり、温泉の質の高さを考えるとグレードの高い観光施設と言って良いと思います。
 金剛山温泉については2000年9月30日に現代グループの金剛山観光施設を見学した金正日が激賞し、その後北朝鮮側の視察が相次いだとのエピソードもあるそうです。
 なお、金剛山温泉には大浴場以外には家族やグループで使えるような小浴場もあります。8人風呂は50ドル+1人あたり10ドル、15人風呂は100ドル+1人あたり10ドルと、値段はかなり高いです。


金剛山温泉の小浴場です。これは8人用の方です。

ちなみに日本統治下の金剛山温泉の説明でも触れましたが、金剛山温泉は重炭酸ナトリウムとラドンの含有量が多い温泉のようです。効能としては神経痛・心臓病・高血圧・関節炎などに効くとのことです。
 金剛山温泉には温泉以外に土産物店・バイキング形式の食堂、絵画や写真を展示する『展示室』があります。また温泉のロビーにはゲーム機が置かれています。

(金剛山温泉については、金剛山の昔話 19世紀末〜日本植民地時代の温井里について)も参考にしてみて下さい。


〜金剛山文化会館の説明〜

 北朝鮮観光の名物、サーカスを堪能できる施設です。場所的には温井閣の隣にあります。入場料金は一般席大人25ドル、子ども20ドル。特別席は大人・子どもともに30ドル、立ち見の場合でも20ドルと、かなり高額です。出演は『ピョンヤンモランボンサーカス(注)』。技術はかなり高く見ごたえがあります。また生バンド演奏の中でサーカスが行なわれるので、これもまた新鮮な印象を受けます。
 ピョンヤンモランボンサーカスは団員総勢500名あまり。4チームに分かれていて、金剛山文化会館にはそのうちの1チームが出張して妙技を披露しているようです。2回目の金剛山観光の時のガイドさんによると、サーカス団員の中には人民俳優・人民芸術家などの高い称号を受けている人たちもいて、大臣顔負けの高い待遇を受けているようです。実際、サーカス団員は金剛山で公演中も北朝鮮の『高級ホテル』に宿泊しているそうです。
 金剛山観光の韓国側元締めの現代峨山としては、より観光客に喜んでもらうために、より高度な技をサーカス団にお願いしているとのことで、確かに2006年に見た公演はかつての公演よりも難易度が高く迫力が増しており、韓国側・北朝鮮側とも営業努力を見せているようです。
 金剛山文化会館はサーカス公演以外にも、韓国の歌手の公演や、毎日午後2時過ぎに上映される映像ショー、『万物の神秘』も行われています。

 北朝鮮経営のレストラン(金剛山ホテル食堂・金剛苑・木蘭館・金剛山玉流館)と、高城港刺身店の利用チケット販売所も、金剛山文化会館の正面向かって左側にあります。北朝鮮側のレストランと高城港刺身店は予約制なので、ご利用希望の場合、予約をお忘れなく!

(注)正式名称はピョンヤンモランボン巧芸団となります。

〜北朝鮮歌謡ショーの説明〜

 北朝鮮歌謡ショーは最近始まった観光メニューです。金剛山ホテル一階ホールで毎晩9時から10時にかけて行われます。なお、出演者の皆さんは正式には『金剛山芸術小組』と呼ぶそうです。歌は上手いですが、演目は民族統一を強調した北朝鮮の音楽ばかりです(笑)。


〜海水浴場の説明〜

 海水浴場は2002年7月に高城(長箭)湾内にオープンしました。2002年夏季の金剛山観光では3泊4日観光の観光客のみ、海水浴が観光メニューに入っていました。2003年夏の場合は、2泊3日観光の方も海水浴を選択できるようになったようです。のりまき・ふとまきは海水浴場に行けなかったのでよくわかりませんが、今のところあまり活気がある海水浴場ではないようです。しかし水はきれいなのではないかと思われます。

〜雪遊び場の説明〜

 戦前、外金剛スキー場があったほぼ同じ場所に2003年末に、スキーとそり遊びが楽しめる雪遊び場ができました。もともと外金剛は比較的暖かな地として知られており、2005年末〜2006年にかけてのシーズンは雪がほとんど降らないためにスキー場はオープンできませんでした。
 スキー場としては小規模なもので、紐を引っ張って上がるタイプのリフトを使うようになっています。スキーと橇のレンタルはあります。金剛山のスキー場らしく景色は良いのですが、スキー場の施設的にはいまいちです。今後、もっと大きなスキー場を作る計画もあるそうですが、雪質と降雪量の問題がネックになりそうです。


のりまき・ふとまき作成・金剛山観光施設配置見取り図はこちら


また宿泊施設については

1・ホテル海金剛
2・温井ビレッジ
3・フォレストドーム
4・金剛山ホテル
5・ペンション
6・金剛ファミリービーチホテル
7・九龍村
8・海水浴場のテント村

の8ヶ所があります。また、かつては金剛ビレッジという宿泊施設もありました。
ホテル海金剛・金剛山ホテル・金剛ファミリービーチホテルはホテルクラスの高級宿泊施設、ペンションがそれに次ぎ、温井ビレッジ・九龍村が大衆的な宿泊施設、そしてフォレストドームと海水浴場のテント村が学生などの大規模な団体宿泊施設になります。日本人などの外国人はだいたいホテルの宿泊を勧められることになります。

ー金剛山の宿泊施設沿革ー

 もともと金剛山は韓国から船で向かった関係上、観光客は船上で寝泊りしました。高城港に浮かぶホテルであるホテル海金剛が初の金剛山での宿泊施設として2000年10月にオープンします。
 2002年の金剛山観光政府補助によって急増した観光客に対応するために、金剛山観光に従事する韓国人・中国系朝鮮族の宿舎であった生活団地を改造し金剛ビレッジが、また金剛山温泉のそばに温泉ビレッジが作られます。
 2003年10月10日には、金剛山温泉の敷地内に20棟、総収容人数200〜300名のドーム型宿泊施設「フォレストドーム」が完成しました。この宿泊施設は大学生団体の宿泊施設として使われるそうです。ドーム内にはオンドルの床暖房があり、冬でも宿泊が出来るようになっています。
 また、2003年12月現在、ホテル海金剛前にペンション34棟が建設中でした。ここでは200名あまりの観光客が宿泊できるようにするといいます。2004年1月には、建設中であったホテル海金剛前のペンションが営業開始となったようです。ちなみにこのペンションには在日韓国人が投資をしたとの話があります。
 金剛山旅館はかつて北朝鮮側が建設した金剛山観光用のホテルでした。韓国側からの観光客の宿泊に利用出来るように、2003年12月には改修工事がされていて、2004年7月には宿泊開始がされました。
 2005年になると、今度は温井閣のそばに九龍村(クリョンマウル)という多人数用宿泊施設が完成し、また高城湾と金剛山の雄姿が望める場所に金剛ファミリービーチホテルがオープンしました。
 2003年9月以降、陸路観光の定着によって増加した金剛山観光客に対応するために、金剛山で働く職員が増えた結果、金剛ビレッジは元の職員宿舎に戻ったようです。現在、温井閣脇にある金正淑保養所が改修中で、また金剛山招待所という北朝鮮が建設した金剛山の最高級宿泊施設の利用も交渉しているようです。


宿泊施設の説明

〜ホテル海金剛〜

 ホテル海金剛は高城(長箭)湾に浮かんでいる『浮かぶホテル』です。つまり船のように海が荒れると少々揺れます。『浮かぶホテル』とはいえ、設備的にはビジネスホテルクラス程度のものはあり、そこそこ満足が出来ると思います。定員は今のところ320名程度のようです。ホテル海金剛は2回の金剛山行きの際に泊りましたが、ホテルでとる朝食は温井里でとる昼食・夕食よりもさらに美味しいと思います。ただしコーヒーはいまいちです。また、ホテル内にはカラオケやディスコ、お土産物店などがあります。

〜温井ビレッジ〜

 陸路観光スタート後の、金剛山観光客の増大を見越して作られた宿泊施設と思われます。一部屋6人定員の大部屋形式です。場所は金剛山温泉の敷地周辺です。なお、宿泊定員は約320名とのことです。

〜ドーム型宿泊施設・フォレストドーム〜

 2003年10月にオープンしたと思われます。場所は温井ビレッジと同じく金剛山温泉敷地内です。各ドームには10〜15名が宿泊可能のようで、全部で20棟あります。外見が宇宙人の秘密基地のような建物で、ちょっとびっくりします。

〜ペンション〜

 2004年1月頃から宿泊が開始されたようです。場所はホテル海金剛の目の前になります。ペンションというだけあって、基本的に団体での宿泊用の施設です。ペンションの定員は8・15・20名の3種類があるようです。

〜金剛山ホテル〜

 北朝鮮によって1958年に建設された『金剛山旅館』を前身とした宿泊施設です。建設には朝鮮総連の全面的バックアップを受けました。全部で7号棟で構成されていて、メインの建物は12階建て、その他の建物は3〜5階建てです。1958年に7号棟全てが建設されたわけではなく、順次増築がされていったようで、メインの建物は元来『在日本朝鮮人観光旅館』と呼ばれていた可能性があります。現在の金剛山観光では、12階建ての本館とともに別館のうち3棟が雪峰棟・蓬莱棟・楓嶽棟として利用されています。
 1980年代末から開始された日本からの北朝鮮観光の中で行なわれた金剛山観光では、金剛山旅館は宿泊場所として利用されてきました。1998年11月の韓国側からの金剛山観光開始以降、北朝鮮側からの金剛山観光が中止され、ほとんど利用されていなかったようですが、近年、韓国側からの金剛山観光で利用するために改修を進め、2004年7月になって利用が再開されました。

〜金剛ファミリービーチホテル〜

 のりまきお勧めの宿泊施設です。なんといっても景色が良い!高城湾のオーシャンビューと、屏風を立てかけたような金剛山の雄姿が一望できる海側の部屋からの景色は本当に素晴らしいです。今後、金剛山観光が順調に行けば北朝鮮のホテルとしてではなく、国際的観光地の金剛山でも随一の展望を誇るホテルとして知られるようになるでしょう。ただ、韓国側経営のホテルなので北朝鮮の人が職員にいることはなく、金剛山観光を北朝鮮観光と見る場合、物足りなさを感じるかもしれません。ファミリービーチホテルを名乗るだけあって、基本的に4〜6名の部屋が多いようですが、2人部屋もあるようです。
 経営者は他に金剛山でペンションや高城港刺身店などを経営しており、現代峨山を除けば金剛山一の多角経営者です。

〜外金剛ホテル〜
 かつて北朝鮮側が建設した「金正淑保養所」がリニューアルされ、外金剛ホテルとなって2006年7月にオープンしました。温井閣の隣にあって、現在の金剛山観光ではどこへ行くのにも便利なロケーションにあります。金剛山ホテルとは違い、外金剛ホテルは韓国側が経営をしており、北朝鮮側の職員の姿は見えません。ホテルはきれいでなかなか景色も良く、便利の良さなどを考えるとなかなかお勧めです。
 2005年に営業が開始された温井奉仕所という名の北朝鮮側のお土産物や軽食の販売所は、2006年8月には外金剛ホテルの駐車場に移動していました。温井奉仕所は北朝鮮側から開設の要請があったといい、北朝鮮側が提供するおつまみで一杯ひっかけるオヤジたちで意外と繁盛していました。


外金剛ホテルです。

〜九龍村(クリョンマウル)〜

 温井閣東館脇に登場した、現在金剛山観光で最大の収容能力を誇る宿泊施設です。最大1000人の宿泊が可能ということです。雰囲気的には温井ビレッジに似ています。

〜海水浴場テント村〜

 夏季にオープンする海水浴場に隣接されたテント村です。フォレストドームとともに学生など団体用の宿泊施設のようです。

〜金剛ビレッジ〜

 2002年6月、束草発の3泊4日金剛山観光の開始にともない利用が開始された宿泊場所です。場所は高城(長箭)湾の奧のあたりで、周囲には金剛山の観光に使われるバスの駐車場や、ガソリンスタンドなどがあります。もともとは金剛山で働く現代社員や中国から来た朝鮮族の人たちが生活していた、コンテナを改造した『生活団地』を、更に観光客が宿泊するように改良した宿泊施設です。
 宿泊定員は約300名でした。金剛山のガイドさんによれば、正直、泊り心地はいまいちと話していましたが、思ったほどは悪くありませんでした。確かに高校の運動部を思わせる仕切りのないシャワー室や、一昔前の大学の学食のような食堂『ハナウォル』などはおかずの品数も少なく、宿泊施設としてのグレードは確かにホテルよりもかなり落ちます。部屋の種類は2人部屋・4人部屋・6人部屋があるようです。また、金剛ビレッジの中にもコンビニエンスストアーがありますが、オープンしている時間は夜9時〜11時というかなり変わったものでした。
 先にも説明したように、金剛ビレッジは金剛山観光客の増大に伴い、従業員が増えた関係でもとの生活団地に戻ったようです。


そして、これまで金剛山観光で活躍してきた雪峰号についても触れておきます。

〜雪峰号〜

 雪峰号は金剛山観光で束草ー金剛山の往復で用いられている船です。金剛山に停泊している間は宿泊施設としての役割も果たします。宿泊定員は約260名のようです。雪峰号に宿泊する場合、金剛山観光に出発し、雪峰号に戻るたびに北朝鮮の出入国審査を受けることが他の宿泊施設との大きな違いです。雪峰号の中は北朝鮮領内ではないということなのでしょうか。


食事場所について

 これまで金剛山での食事場所は温井閣と各宿泊施設しかありませんでした。朝食は各宿泊施設でバイキング形式のものを摂り、昼食と夕食も温井閣でのバイキングでした。
 2003年夏季からは、かつて北朝鮮が建設した九竜淵コース入り口のレストラン、『木蘭館(モンラングァン)』と、三日浦ほとりに建つレストラン『丹楓館(タンブングァン)』が、九竜淵コース観光客の昼食場所として復活しました。また、これもかつて北朝鮮側が建設した観光ホテル・金剛山旅館の正面左隣にあるレストラン、『金剛苑(クムガンウォン)』も、北朝鮮名物料理を味わえる場所として利用できます。
 また、特筆すべき点は木蘭館・丹楓館・金剛苑とも、中で働いている人は北朝鮮の人です。
 2003年12月の金剛山旅行時、ホテル海金剛と金剛ビレッジとの間の高城(長箭)湾の近くでは、新たなレストランが建設されていました。どうやら海鮮料理のレストランのようでした。そして2004年1月、高城(長箭)湾沿いの海鮮レストランが完成して、北朝鮮の海でとれた100パーセント天然物の海産物を堪能できるようになったといいます。
 また2005年秋より、平壌一の冷麺の名店、玉流館の金剛山支店がオープンしました。

〜温井閣〜

 温井閣そのものの説明でも書きましたが、現代百貨店から派遣されたコックが腕を振るうバイキングが頂けます。かつての食事代は昼食・夕食とも9ドルでしたが、2003年秋に値上げされて現在は10ドルです。
 バイキングの内容は全て韓国風の料理です。味はなかなか良く、品数もかなり多いので、韓国料理が苦手でない限り楽しめると思います。

〜木蘭館〜

 かつて金剛山旅館のレストラン支店として九竜淵コースの入り口に建てられたレストランです。木蘭とは北朝鮮の国花であるモクレン科の植物、オオヤマレンゲの呼び名です。かつて北朝鮮側で行なわれてきた金剛山観光では食堂として使われていましたが、韓国からの金剛山観光開始後、閉じられていました。そして2003年夏に復活しました。部屋は3室あり、全て椅子席です
 九竜淵コースの昼食はこの木蘭館で食べることも可能です。食事代は9ドルです。メニューはピビンバ、冷麺があります。また、クッパもメニューにありそうなのですが、この点は正式に確認できませんでした。ピビンバ、冷麺ともなかなか美味しいものでした。
 韓国・朝鮮料理恒例の付け出しには、緑豆チヂミ、わらびの惣菜、トラジと白菜のキムチが付きました。白菜のキムチは正直いまいちですが、あとはなかなかの美味で、特に緑豆のチヂミは絶品だと思います。
 あと、マッコルリという濁り酒を頼むことも出来ます。マッコルリは思ったよりもアルコール分が高く、金剛山観光客でも酔っ払ってしまった人がいました……要注意(笑)。
 この木蘭館の利用方法ですが、九竜淵コースへ出発する前に温井閣にある北朝鮮経営のレストラン利用チケット販売所で、チケットを購入しておくのが無難だと思います。現地でも全くチケットを買えないことはないかと思いますが、昼食時は数百人の客がどっと押し寄せ、三室しかないレストラン内はごった返し、列を作って入場を待つありさまなので、現地でのチケット購入は難しいかもしれません。
 木蘭館には、あと小さいながら北朝鮮製の金剛山土産を売る売店がありました。また手狭なことが原因なのでしょうが、木蘭館は現在増築工事中でした。

〜丹楓館〜

 木蘭館と同じく、かつて金剛山旅館のレストラン支店として三日浦ほとりに建てられたレストランです。木蘭館と同じく、かつて北朝鮮側で行なわれてきた金剛山観光では食堂として使われていましたが、韓国からの金剛山観光開始後、閉じられていました。そして2003年夏に復活しました。丹楓とは日本語で言う紅葉のことです。今回の金剛山旅行では肉と野菜の串焼き、蒸した白頭山産のジャガイモ、チヂミなどといったつまみ系の軽食とマッコルリを販売していました。
 また私たちが行った時には、木蘭館では北朝鮮のお土産の販売を行なっていました。温井閣では扱っていない商品もあり、要チェックだと思います。

〜金剛苑〜

 金剛山旅館の正面左側にある金剛苑では、金剛山にある北朝鮮経営のレストランで唯一夕食が楽しめます。夕食は北朝鮮名物料理で料金は25ドルです。金剛苑で夕食を食べたいと思ったら、その日の朝〜昼に温井閣にある北朝鮮経営のレストラン利用チケット販売所で予約をする必要があります。韓国の旅行会社の方の話によれば定員100名のレストランなので、予約は早い方が良いと思いますが、前日予約は今のところ出来ないようです。
 金剛苑は大小5室があるようでした、椅子席である木蘭館と丹楓館とは違い、一室を除いてお座敷形式となっています。
 問題の食事内容ですが、キムチの味がいまいちである以外、相当な高レベルだと思います。黒豚のカルビや魚料理などは特に美味で、最後に出てくる冷麺も上品な味がして堪能できます。ただし問題は量が少なめなので、大食漢やお腹が本当に減っている場合などは追加注文が必要になることです。あと、飲み物は別料金になります。追加注文では毛蟹も頼めるようで、頼んでいた人がいました。毛蟹は1匹10ドルで、食卓には蒸した状態で出てきます。

〜金剛山玉流館〜

 冷麺の本場、ピョンヤンでも一番の冷麺の名店、玉流館の金剛山支店です。瓦葺の伝統的な建物で、金剛山の景色によく調和しています。確かに味は良いのですが、高いです。経営は北朝鮮側に任されており、スタッフは全てピョンヤンから赴任しているとのことです。


金剛山玉流館です。

〜高城港刺身店〜

 北朝鮮の海で採れる新鮮な海産物を料理して提供するお店です。もともとは金剛山で初代の出入国管理事務所を改造した建物ということで、少々味気ない建物ですが料理は美味しいです。店長は現在朝鮮系中国人で、店員はそのほとんどが北朝鮮の人です。
 他に金剛山でペンション・ビーチホテルなどを経営している経営者は商売上手のようで、高城港刺身店は金剛山観光客のために北朝鮮の新鮮な海の幸を土産としても販売しています。残念なことに日本までは持って帰れませんが(笑)。



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