DMZを越えて
(第八章)



北朝鮮特別料理が堪能できるレストラン・金剛苑の入り口


(2004・1・1 完成)


 金剛山温泉には午後4時半頃到着しました。日はすっかり西の方に傾いてきたとはいえ、まだ明るく、温泉の周囲の景色も見えます。バスを降りたところ、目の前に運転手の金さんがいました。良い機会ですので私たちと運転手の金さんは記念撮影を行ないました。記念撮影の後、いい感じに日焼け(酒焼け?)をした、イイ顔をしたオヤジが私たち二人に日本語で話しかけてきます。
 「日本から来られましたか?」オヤジの話しかけの言葉はまあ、普通でありました。
 「ちょっとお二人にい〜いことをお教えしましょう……ちょっといいですか?」はて、このオヤジ、私たちに何を教えようとしているのだろう??「あっちを見て下さい」。オヤジは温泉を囲む鷹岩山の一角を指差します。一見、ただの岩山が見えるだけです。
 「あの山の真ん中あたり………」。どういうわけかオヤジはここで少し言いよどみます。説明の日本語がわからないのでしょうか?
 するとオヤジは山の一角を指差し、多少二ヤつきながらながら、「あそこに男のシンボル、チンチンの形をした岩が見えますね〜〜」。少し言いよどんだ後はイッキに話します。私たちはびっくりしてオヤジの指差す方をよく見てみます。あります!あります!!鷹岩山の稜線上に実にリアルなモノが!!!
 「あ〜っ、似ている似ている!!」私たちは思わず叫びます。そんな私たちの姿を見て、ニヤニヤしながらオヤジは満足そうに頷きます。


これが“チンチンの岩”う〜む〜〜リアルだ!リアルすぎます!!

 金剛山温泉前ではそんな椿事(珍事?)が起きましたが、温泉内は数百人の金剛山観光客が一気に殺到して、ひどくごった返しているようです。のりまき・ふとまきはしばらく温泉の建物の前をぶらぶらしてから温泉につかることにしました。
 金剛山温泉の敷地には、金剛山観光の宿泊施設である温泉ビレッジの建物が並んでいます。また、奧の方にはジオドームという10人程度の団体客用の白いドームが並んでいました。地面に並んでいるジオドームは、何となくSF映画かなにかで見るような宇宙人の地球侵略基地のような感じもして、面白いです(^o^)。



金剛山温泉敷地内に作られた宿泊施設。左が温井ビレッジ、右がジオドーム

 さて、温泉の敷地内をうろうろしていると、目の前にBBCの3人組が現れました。せっかくのチャンスでしたので私たちは是非声をかけてみたかったのですが、これまでの旅行中、なかなか私たちのそばを通ってくれず、声がかけられなかったのです。
 「こんにちは、日本の方ですか?」。まず私たちは一見、日本人らしく見えたカメラマンに話しかけてみました。「いいえ」。続いてカメラマンは、「私はシンガポール人です」と答えます。日本人だったら色々訊くことが出来たのに……少し残念でした。
 すると3人組の中の西洋人が「こんにちは」。と、私たちに日本語で話しかけてきます。続いて通訳をしている韓国人とカメラマンも「こんにちは」。と続けます。それから韓国人が「皆、日本語上手ですよ〜」。といって笑います。
 「この前はNHKなどの日本のテレビ局も来ましたよ」。通訳の韓国人男性がそんなことを説明してくれます。最近の北朝鮮ブームを反映して、テレビで金剛山の姿を時々見かけるようになりましたが、やはり金剛山に日本のテレビ局も来ているようです。

 そんなこんなで到着してから周囲を20〜30分ぶらぶらした後に、私たちは温泉に入ることにしました。温泉は予想通りごった返していました。洗い場も結構いっぱいで、身体を洗うのにも一苦労です。温泉は相変わらず素晴らしく、九竜淵と三日浦観光で歩き回ったことで疲れた体もゆっくりと湯船に身体を沈めていると、疲れがお湯に溶けていくような感じがします。
 窓際の浴槽や露天風呂からは夕暮れの西空とともに金剛山の絶景が望めます。これまで天候や時刻の関係で、温泉から金剛山を望むことが出来ませんでしたから、温泉につかりながらの金剛山は今回が始めてです。
 金剛山温泉には温泉から望むことができる金剛山の峰々を、ご丁寧にも写真入りで説明しています。西空は雲ひとつ無く、のりまきは写真入りの説明と、眼前に広がる夕陽の残光を浴びながら輝いている雪景色の金剛山とを比較しながら、ゆっくりとお風呂につかりました。金剛山温泉からは条件さえ整えば、金剛山最高峰の毘盧峰や、金剛山随一の峻険さを誇る集仙峰などを眺めながら、お湯につかることができるのです……

 1時間近くもつかっていたでしょうか……温泉を充分に堪能してからあがることにします。温泉からあがると、ふとまきは既に出ていました。私たちはロビーでくつろぎながら金剛苑行きのバスを待つことにします。
 私たちがロビーで座っていると、さきほど三日浦で日本語を話せる女の子と一緒だった、同じバスに乗っていた男の子がやってきました。男の子は興味深げに私たちの首からかけられた観光証を眺めていました。私たちも男の子の観光証を見てみました。男の子の名前はイーという名前でした。
 ところでイー君は温泉で耳に水が入ってしまったようで、耳から水を出そうと、しきりと耳を下に向けながら片足とびを繰り返していました。イー君の耳からはなかなか水が出てくれませんでしたが、10分近く悪戦苦闘した結果、ようやく水が出てくれたようで一安心です。

 イー君の耳からめでたく水が出てからすぐに、「金剛苑へ行く人はお集まりください」。という全館放送がかかりました。金剛山温泉のロビーに集まっていた人の多くが外に出て、バスに乗り込もうとします。その中にBBCの3人組もいました。のりまきは3人組の中の西洋人に「美味しいものが食べられますね〜」。と、英語で話しかけてみると、「美味しいものが好きなのですね」。といい、笑います。
 金剛苑行きのバスに乗り込んでみると、私たちの席は今回、たまたまBBCの3人組のすぐそばとなりました。私たち二人のすぐ隣には韓国人の通訳の人が座りました。
 バスは6時20分には満員となり、現代の男性社員が持参していた金剛苑予約者名簿と観光証のチェックを始めました。私たちもチェックを受け、「6号室に入ってください」。と言われます。また、朝の予約時に私たちは金剛苑の予約票を貰っていたのですが、予約票は回収されることはなく、観光証の『マー31・32』という番号確認のみで金剛苑の予約の確認は終わりました。

 チェックが終わるとバスは出発します。バスが出発してまもなく、私たちの隣に座った、韓国語の通訳の人が私たちに英語で「私は現代峨山の社員ですが、金剛山はいかがですか?」と話しかけてきました。この通訳さんは、実はBBCの記者の通訳をするために派遣された現代峨山の社員さんだったのでした。
 「とてもきれいなところで、素晴らしいです」。のりまきがそう言った後、ふとまきが「でも、韓国語ばっかりで英語のパンフレットも日本語のパンフレットもありません」。金剛山観光の元締め、現代峨山の社員さんと聞いて、ふとまきは思わず金剛山観光の不便な点を指摘しました。
 「すいません……確かに韓国語のパンフレットしかありませんね」。通訳の男性がそう答えた後、ふとまきは「私たちは金剛山に3回来ました」。と話します。金剛山に3回も来たと聞いて、通訳の男性はびっくりしたような顔をします。
 「どうして金剛山に3回も来たのです??」通訳の男性はそう私たちに聞いてきました。
 一瞬、どう答えたらよいか迷いましたが、のりまきは通訳の現代峨山社員さんの真剣な表情を見て、「ほとんどの日本人は北朝鮮のことをひどく嫌っています。しかし、韓国の人はある時は北朝鮮を嫌い、また、ある時は北朝鮮に対してとても友好的です。しかし、ほとんどの日本人はそんなことは知りません。だから私たちはそのような現状を知ろうと思い、金剛山へ来ているのです」。と、のりまきは説明しました。
 のりまきの話の最中、通訳の現代峨山の社員さんは何度も何度も頷きながら相槌を打ちます。のりまきが話し終わると、懐から名刺を取り出し、私たちに渡しながら「私は洪といいます。よろしくお願いします」。と言います。
 「今、日本では北朝鮮に興味を持っている人が多いです。韓国から北朝鮮へ行ける金剛山観光を注目している人もいますよ」。私がそう洪さんに言うと、「よく知っています。」。と答えます。
 「でも、今、金剛山へ日本人が行くのは大変です。日本からは予約もできないし」。ふとまきがそう続けると、「すいません……私たちも早く現代峨山に日本語の出来る人を雇ってホームページに日本語のページを作り、日本から日本語でオンライン予約ができるようにしたいと思っています」。と話します。
 「金剛山は、前と較べて変わりましたね」。ふとまきは続いてそう言います。「本当に……北朝鮮のレストランに行くことができるようになったし、スキー場も出来るようだし」。とのりまきが続けると、洪さんは「はい、もうすぐスキー場が出来ます。また、金剛山旅館はリフォーム中で、来年の4月頃には金剛山旅館に泊れるようになります」。と説明します。そして「やがてゴルフ場やケーブルカーもできる予定です」。と続けました。
 北朝鮮相手のことなのでなかなか計画通りには行かないでしょうが、今回の旅行で金剛山地区のあちこちで工事が行なわれていることを見た私たちは、洪さんの言うように様々な観光施設が建設され、近いうちに金剛山地区が大きく変わる可能性も否定できないな……と思いました。それにしてもケーブルカーはどこに作られる予定なのでしょう??
 「ケーブルカーはどこに作られるのですか?」洪さんにそう尋ねてみると。洪さんはバスの進行方向を指差して「あちらの方です。いつかは作りたいと思っています」。といって苦笑いします。どうもケーブルカーはかなり先の計画のようです。場所的には内金剛方面に抜ける方か、温井里の近くの水晶峰あたりではないでしょうか?

 そんな話をしているうちにバスは道を左に折れて金剛山旅館の敷地内に入りました。それからバスはさらに少し奥の方に進んで、金剛苑に到着しました。時間的には金剛山温泉から10分たらずだったと思います。バスから降りてみると、私たちのうしろに12階建ての金剛山旅館メインの建物の姿が見えます。金剛苑は位置的には金剛山旅館正面左奥にある建物で、もともと金剛山旅館の宴会場のような建物だったと思われます。
 金剛苑正面の看板は、金剛山の写真の上に黄色いハングル文字で『金剛苑』と書かれた真新しい看板でしたが、建物そのものはかなりの年代モノです。そうしているうちに、私たちの乗ってきたバスを追いかけるように、2台のバスがやってきました。結局、金剛苑の北朝鮮特別料理を食べに、全部で3台のバスに乗って金剛山観光客がやってきたことになります。到着すると皆、続々と金剛苑に入っていきます。さあ、私たちも金剛苑に入ってみます!
 金剛苑に入って、私たちはさきほど説明されたように6号室を捜します。しかし金剛苑の中をいくら見てみても、6つも部屋はありません。そこでのりまきは黒いシックなドレス風の服を着ている北朝鮮の女性店員に、「6号室はどちらですか?」と聞いてみます。すると女性店員は「6号室はありません」。との答えです。困ってしまったところに、先ほどの予約確認時に「6号室に入ってください」と教えてくれた現代の男性社員が頭をかきつつやってきました。男性社員は私たちの顔を見るなり「すいません……こちらです」。と言い、入り口から右側に入ったところにある畳敷きの座敷に、私たちを案内しました。

 金剛苑は入り口を入ってすぐ右手にテーブル席が4つある以外は、全て畳敷きの座敷にテーブルといった感じの部屋でした。部屋数はテーブル席の部分を1部屋とカウントすると全部で5つだと思います(注)。座敷の大きさは大小があって、大きい座敷はかなり大勢の団体を収容できると思われます。
 今回、4つあったテーブル席のひとつに、通訳の洪さんを除く現代の社員の皆さんが陣取っていましたが、あとの3つのテーブル席は空いていました。4部屋の座敷の方はというと、私たちの席の隣がたまたまひとつ空いていましたが、あとはほとんど満席だっだと思われます。金剛苑に来た金剛山観光客は、さきほど説明したように3台のバスに乗ってきましたので、全部でたぶん80人程度だったと思われます。すると金剛苑の最大収容人員は、やはり100名程度なのではないかと思われます。
 私たちが席に着くと、お隣には今さっき、金剛山温泉前で“男のシンボル、チンチンの形をした岩”を教えてくれた男性一行が座っていました。男性は観光証を見ると尹さんという名前のようです。私たちと尹さんは、お互い顔を見合わせて、笑って「こんにちは」。とご挨拶です(^o^)。


金剛院の光景。畳部屋にテーブル、そして並べられる料理・お酒……
日本人の私たちにとっても特に違和感ない普通の宴会光景です。


 金剛苑の北朝鮮特別料理は、以下のようなコースでした。

生の白菜:コチュジャンをつけながらいただく。
キムチ
トラジ(キキョウ)とぜんまいの付け合せ:木蘭館で出たものと同じ料理
トロモク(ハタハタ)の揚げ物:ハタハタを揚げて、醤油ベースのたれに浸した料理
マンドウ:水餃子風のマンドウでした
貝風味のおかゆ
黒豚とアヒルのカルビ
冷麺

 食卓に座ると、目の前に生の白菜、コチュジャン、キムチ、トラジ(キキョウ)とぜんまいの付け合せ、さらに黒豚とアヒルのカルビがすでにセットされていました。生の白菜はどうして食べればよいか少しまごつきましたが、みんなコチュジャンをつけて生のままむしゃむしゃとやっています。私たちもまねして生の白菜をコチュジャンをつけて食べてみると、意外と白菜の甘味が感じられて美味しかったです。
 トラジ(キキョウ)とぜんまいの付け合せは、昼に木蘭館でいただいたのものと同じもので、やはり美味でありました。キムチはやはり味に深みが感じられないもので、あまり美味しくありません。

 そんな中、お魚料理が店員さんたちによって運ばれてきます。料理を見るとお皿の上に小さな魚が4匹乗っかっています。お隣の尹さんが、さっそく店員さんに魚の名前を訊いています。私たちも尹さんから魚の名前を訊いてみると、『トロモク』と教えてくれました。尹さんによれば海の魚のようで、韓国では有名な魚のようでした。あとで調べてみるとハタハタのことでした。
 ハタハタの揚げ物はたぶん二度揚げをしたか、低温の油でゆっくりと揚げたハタハタをたれに浸した料理のようで、頭からいただくことが出来ました。お味の方も魚の味とたれの味との相性が良く、大変に美味しかったです。
 次にマンドウが運ばれてきました。マンドウは水餃子風のもので、皮、ジュージーな中身ともにグッドでした!食卓にマンドウが運ばれてきた頃、尹さんが店員を呼んでなにやら追加注文をしました。尹さんは「○○1皿下さい」と頼んでいました。店員は「これからだと時間がかかりますよ」。と答えていましたが、尹さんはとにかく食べてみたかったようで、注文してしまいました。この時は尹さんがいったい何を追加注文したのかまったくわかりませんでした。
 金剛苑ではお水以外の飲み物は追加注文するようになっています。注文は店員さんにお願いするか、または自分で入り口近くにあるカウンターに行って購入するシステムになっていました。尹さんを始め、周囲の席の人たちはビールを頼みだしました。ふとまきも店員さんにビールを注文して、今回の旅行で初めての乾杯をします♪
 そんな頃、いよいよ焼き肉が始まりました!肉を目の前の卓上コンロで焼き。ほお張ります……とても良い味付けがされていて、美味!美味であります!!特に黒豚は言うことありません!!アヒルの方も美味しかったのですが、脂身の端の方に毛の痕が残っていて、その部分だけは食感が悪くてどうもいただけませんでした。
 またアヒルの肉に脂が多いためか、焼いているとコンロの上に炎が高く立ち昇ってしまい、肉が焦げてしまうこともあって、みんな焼き肉の途中で一旦火を消してしまいました。火を消した後、いざ焼き肉再開をしようとしても火がなかなかつかず、店員さんもなかなかやってきません。四苦八苦していると、隣席の尹さんが乗り出してきました。
 尹さんは私たちに「割り箸の入っていた紙袋を渡してくれ」。と言います。私たちが割り箸の入っていた紙袋を渡すと、尹さんはガスをひねり、紙袋に火をつけてコンロの中に放り込みます。するとコンロは見事に火が付きます。そんな調子で尹さんは私たちのいた部屋のテーブル上にあったコンロに次々と火をつけていきます。

 やがて店員さんたちは小さな器に入ったおかゆを持ってきました。おかゆにはしっかりと貝のだしが染み込んでいて、これもまた美味、美味でありました♪そんな中、店員さんが尹さんのテーブルに今蒸しあがったばかりで湯気をあげている毛ガニを持ってきました。尹さんのテーブルの皆さんは美味しそうに毛ガニをぱくつきます。
 のりまきは尹さんに「美味しいですか?」と聞いてみます。尹さんは「美味しいよ!でも高い!10ドルもするよ」。と答えます。尹さんは私たちにもカニの手を渡しながら「食べてみないか??」と言ってきますが、お腹の調子も考えて、遠慮しておきました。
 尹さんの食卓にカニがやって来た頃、のりまき・ふとまきはトイレに行ってみました。ふとまきが行った女子トイレは結構普通のトイレだったそうですが、男子トイレは手を洗う水道の水が蛇口から出ないため、流しのところに水がなみなみと注がれた大きなポリバケツが置かれていました。ポリバケツには手桶が入っていて、手桶でポリバケツの水をすくって手を洗うようになっていました。
 また、小の便器は普通に水が流れ、特に変哲がないものでした。大の方はINAXの洋式便器が使われていて、ご丁寧にも『節水型便器』と日本語の説明がついたままでした(笑)。それにしても北朝鮮金剛山までどうやってINAXの節水型便器がやってきたのでしょうか??INAXの節水型便器も問題なく普通に使うことができました。ちなみにふとまきによれば、女子トイレの洋式便器もINAXの『節水型便器』だったとのことです。
 私たちがトイレから戻ってまもなく、店員さんは冷麺を運んできました。最後の冷麺は大変に細い麺を使っていて、これまで食べたことがない冷麺でした。上品かつ繊細な味付けのこれもまた絶品でありました♪♪
 今回の金剛苑での料理で問題があるとすれば量だと思います。お腹の調子が万全でなかった私たちにとってちょうど良い量だったということは、やや量が少ないのではないかと思われます。実際、私たちの部屋では毛ガニの追加注文しかなかったですが、他の部屋では焼き肉などの料理の追加注文が結構あったようです。



今回のメインディッシュ・黒豚とアヒルのカルビ。写真でもわかるように味付けがされた状態で出され、卓上コンロで焼き肉にする。
味付けは大変に良く、特に黒豚は絶品でした♪



最後に出てきた冷麺。とても細い麺を使っていて、上品かつ繊細な味わいの絶品♪

 料理もあらかた終わり、やがて開始から約1時間あまりで金剛苑での北朝鮮特別料理はお開きになりました。みんな三々五々席を立っていきます。のりまき・ふとまきも席を立つと、目の前に現代峨山の洪さんが現れました。のりまきが「ここの写真撮っていいですか?」と聞いてみると、「いいですよ〜」とのことなので、のりまき・ふとまきは金剛苑の入り口や室内の写真を撮っていました。
 すると洪さんらBBCの3人組が、北朝鮮の金剛苑の女性店員と記念撮影を始めました。『いいなあ〜』と思いながら見ていると、統一展望台でBBCの3人に一番最初に話しかけていた、20代半ばくらいの男性3人組も入っている若い男女6人組のグループが、BBC3人組と記念撮影をした北朝鮮の店員さんとの記念撮影に成功したではありませんか!金剛山では北朝鮮側の人や職員をカメラに収めることは禁止されています……思いもかけぬ記念撮影に成功して、6人組みはもうみんな飛び上がらん限りに喜んでいます。
 「あ、いいなあ〜」。と私たちがつぶやいた姿を洪さんは見ていました。洪さんは「あなたたちも記念撮影したいですか?」と言ってきます。私たちが「出来るんですか?」と言うと、「大丈夫です、待っていてください」。洪さんはそういうとすぐに、記念撮影に応じていた店員さんに頼みだします。普通はやらないというか、やってはいけない記念撮影をどういうわけか今日は2回もしてくれたわけです……洪さんが私たちの方を指差しながら「この人たちとも記念撮影をお願いします」。とお願いしてみますが、なかなか首を縦に振ってくれません。
 すると洪さんは店の奥の方に行って、別の店員さんに「この人たちは日本から金剛山に3度も来てくれたのだから、ぜひ記念撮影をして欲しい」。とお願いを始めます。結局、洪さんたっての懇願に、ひとりの店員さんが私たちとの記念撮影に応じてくれました。洪さんに本当に感謝であります!!
 北朝鮮の店員さんとの記念撮影に成功して、ますます意気上がる若者6人組は、私たちに金剛苑入り口での記念撮影をお願いしてきました。その際に「金剛院の看板を必ず入れてください」。と、なかなか写真の注文にも熱が入っています(笑)。もちろん私たちは快く記念撮影のシャッターを押します(^o^)。

 午後8時前には、みんな金剛苑から出てバスに乗り込みます。バスはやがて金剛苑の前を出発します。のりまき・ふとまきはたくさんの出来事があった金剛山2日目を振り返りながら金剛ビレッジまで戻ります。
 私たちが金剛ビレッジの部屋に戻ってすぐ、部屋の入り口をトントンと叩く音がします。いったい誰かな〜〜と思いながら入り口を開けてみると、そこには日本語が話せる女の子と李くんが立っていました。
 「これが私の住所と名前です」。見るとノートの切れ端に住所と名前が書かれています。女の子の名前はミヨンちゃんという名前でした。李くんは終始笑いながら私たちのやりとりを見ています。本当に好奇心旺盛な少年です。

 思いもかけぬお客さんのあと、さっきまで食べていた焼き肉の臭いが気になったのりまきは、金剛ビレッジのシャワーを使ってみることにしました。金剛ビレッジのシャワールームは、仕切りのない大きな部屋に10台ほどのシャワーが単に並んでいるだけという、一昔前の高校運動部のシャワールームのようでしたが、のりまきはシャワーで焼き肉の匂いを洗い流すことができました。
 のりまきのシャワーが終わり、明日の支度を済ませたら、本当に一日中歩き回った盛り沢山の2日目の疲れが出て、のりまき・ふとまきともにすぐに床についてしまいました。本当に金剛山観光2日目は充実、充実の一日でした♪


注:のりまき・ふとまきは今回、金剛院の部屋数をしっかりと確認したわけではありませんが、状況から見て畳部屋の座敷が4部屋、テーブルに椅子の部屋が1部屋の、計5部屋で構成されていると思われます。その他、男女トイレと厨房があり、また入り口に簡単な金剛山特産品を売る売店と、入り口すぐの場所にお酒類が売られているカウンターバーがあります。




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