嵐の萬物相
(7)

嵐の翌日は…実に良い天気でありました


朝日に染まる金剛山
特に撮影に問題ある景色だとは思いませんが……本当は撮影禁止なのです(-_-;)


さて、翌日(7月20日)は風の音で目を覚ましました。起きてみると強風が吹いているようで、窓の隙間がピュウピュウいっています。カーテンを開けてみると昨晩までの雨とうって変わって、見事に晴れ渡っていまして、長箭湾と湾を囲む山並みがくっきりと見わたせます。本当は長箭湾は撮影禁止なのですが、あまりに美しい朝の金剛山を見て、写真を撮ってしまいました。

金剛山の“ちょっと淋しい海水浴場”と、岩に刻まれた金正日の大文字



美しい光景です……


長箭の街並みの一部です。


『朝日に染まる金剛山』の写真の一部を拡大しました。金剛山観光のバスが並んでいる駐車場・ガソリンスタンドなどが見えます。


『ちょっと淋しい海水浴場』を拡大しました。画面やや右にある、赤い大きな板のようなものの裏には広告が書かれていました。

ところでホテル海金剛は長箭湾に浮かんでいるホテルなので、強風で波が高い場合それなりに揺れます。この日の朝もゆらゆらとホテルは少し揺れていました。
金剛山3日目の朝食は、朝の6時40分からでした。金剛山観光客の多い最近は、朝食時間も朝の6時からの組と朝の6時40分からの2つの組に分けられています。一日目6時から朝食だった人たちは二日目は6時40分から、そして一日目6時40分から朝食だった人たちは二日目は6時から朝食と、朝食の順番を一日目と二日目で交替するようになっていました。
朝食はやっぱり美味しゅうございます。今回はふとまきも体調に問題なく、朝食をたくさん頂きます(^o^)。食後はコーヒーであります。本日は二人で一ドル、しっかり籐製の籠の中にカンパをします。ちなみにコーヒーのお味はいまひとつです。そういえば束草のkuniさんも、『韓国のコーヒーはいまいちです』。と話していました。
金剛山観光3日目は、ホテルをチェックアウトしてからバスに乗り込みます。そこで朝食を終えると部屋に戻って荷物をまとめ、それから金剛山のお土産でパンパンになった荷物を背負い、部屋を後にします。私たちはフロントに戻り、セキュリティボックスから貴重品を戻してバスの出発を待ちます。ホテル海金剛の入り口から外を見ると、朝から日差しが強く、夏らしい暑い日になりそうでした。
そんな時、ホテル海金剛や雪峰号の周辺をいつも監視している、北朝鮮の若いネクタイ姿の男性が二人、ホテル海金剛の入り口にいた観光客に話しかけてきました。何を話しているか完全には理解できなかったのですが、どうやら写真を撮ってはならない場所で、写真を撮った人物がいるとの文句を言いに来たようです。正直ぎくりとしましたが、更に話を聞いてみると、北朝鮮の監視員たちは、私たち(ター2の4・5番)とは全く違う番号を言ってきたようなので少しほっとします。監視員の話を聞いていた韓国人の観光客は、監視員の話が終わるとすぐに現代の社員を呼びに行きました。
現代の社員と北朝鮮の男性とは、少し話をしていたようですが、雰囲気として特に深刻そうな話はしていない様子です。しかし、正直びくびくモノです(-_-メ)。
天気が良くて今日は暑くなりそうですし、ミネラルウオーターを2本、ホテル海金剛の売店で買い込んでからバスに向かいます。バスの前では皆さんホテル海金剛をバックに記念写真を撮っています。しかし現代社員さんたちは、観光客のカメラが少しでもホテル海金剛の向こう、つまり長箭の町の方角が写真に写ってしまいそうな感じにカメラを構えていると、カメラの方向を変えるように注意します。細かいところに気がづく鄭さんが、特にまめに注意をしております(笑)。北朝鮮の監視員から文句言われたので口うるさくやっているのか……景色の良さに、韓国人も向こうを写したくて長箭の方向も写るような角度で写真を撮ろうとしがちなのか……多分その両方のような気もしますが……現代社員の皆さん、かなり細かく注意していました。問題の北朝鮮の監視員はといえば、そのような光景を端っこのほうでしっかりと見守っています(-_-メ)。
のりまき・ふとまきもしっかりと記念撮影しました。今回は、私たちの乗る“ター2”号のバスの運転手さんとも記念撮影しました。記念撮影をお願いする時に、のりまきはバスの運転手さんに「どちらの出身ですか?」と聞いてみました。よく言葉が通じたと思いますが、運転手さんはのりまきの質問を理解してくれて、「チーリン」。と答えてくれました。私たちの『ター2号』のバス運転手さんは、中国の吉林省の出身のようです。
さて、のりまき・ふとまきはバスに乗り込み海金剛・三日浦出発を待ちます。しかし、他のバスは全て出発していったというのに、なかなか私たちのター2号バスだけ出発しません。他のバスが出発して5分経ち、10分経ってもまだ発車しようとしません。バスに一旦乗り込んでいた鄭さんも、バスから降りてホテル海金剛に入っていきました……こうなってくるとまた『私たちが撮影禁止の場所を撮ったことが問題になっているのだろうか……』と、不安になってきました。
他のバスが出発してから12〜3分経ったでしょうか?若い女性が二人、息せき切ってバスに乗り込んできます。『すいませ〜ん!』といった感じで女性二人はバスの他の乗客に挨拶します。若い女性だからでしょうか?バスの男性陣の中からは拍手さえ出ました……実に単純な話です(^o^)。女性二人の髪は濡れています。どうやら朝シャンをしていてバスの時間に遅れたようなのです。鄭さんもまもなくバスに乗り込み、ようやくバスは出発します。のりまき・ふとまきはほっと一安心であります(^o^)。それにしても前回の旅行の時は、私たちの乗ったバスの乗客は、時間5分前には必ず全員揃っているようなきっちりとしたグループでしたが、今回はかなり時間にいい加減なグループのようで、私たちのバスが最後になることが多かったです。韓国の人の時間に関する意識は、必ずしもきっちりしている人ばかりではなさそうです。
雨が降っていた前日とは違い、抜けるような青空の中、バスは進みます。バスの先頭では鄭さんがマイクを持って説明を開始します。鄭さんはまず、『昨日までは天気が悪かったので、あまり心配なかったのですが、今日は天気が良いので北朝鮮の人物・家などを写真撮影しないように気をつけてください』。といった感じの注意をしていたようです。
ところでバスが出発してまもなく、バスの行く先の方に、2人の男性が歩いている姿を見つけました。近づいてみるとなんとネクタイ姿の北朝鮮の監視員です。どうやら我々のバス以外、全てバスが出発したのを見届けて、『一台バス残っているけど、ま、いいんじゃないかい〜』といった感じで、自分たちの事務所に引き上げる最中だったようです。韓国でも時に感じられるのですが、細かくて丁寧な一面、突如いいかげんさが顔を覗かせるメンタリティは、どうやら北朝鮮の人にもあてはまりそうです。
北朝鮮のネクタイ姿の監視員たちは、金剛山観光バスの駐車場のある場所から少しホテル海金剛寄りにある、旧通行検査所(出入国管理事務所)の建物の脇に建てられている、古いコンテナを改造したコンテナハウスのような所に入っていきました。どうやらそこが雪峰号とホテル海金剛の監視員詰所のようです。
北朝鮮の監視員たちがコンテナハウスに入っていたのを見届けた後、反対側を見るとバスは海沿いを走っています。バスの車窓からは長箭湾とそれを囲む山々、更には長箭の街並みがくっきりと見渡せます。また、昨日は風雨ともに強かったため、長箭湾内にある金剛山海水浴場からビニール製のボートやらなんやらが流されて、あちこちに流れ着いている光景を目にしました。
バスはやがてガソリンスタンドのそばを通ります。ガソリンスタンドの前では、コンテナハウスを改造した宿所に泊っている、3泊4日金剛山観光客の皆さんが、バスに乗り込んでいる最中でした。それからバスはゆっくりと温井里の方に向かいます。相変わらず北朝鮮の皆さんは、多くが歩き、時々自転車に乗っている様子です。しかし、今回はどうしてなのかよくわかりませんが、時折車が走っている光景を目にしました。今回の旅行を通じて、車は前回の時よりも多く見かけたような気がします。
温井里に近づいていくと、ところどころの畑で農作業をしている光景を目にしました。作業内容はというと、みんなで畑の雑草を取っている感じでした。更に温井川に架かる橋を渡り、温井川の流れが見える場所まで来ると、多くの北朝鮮の女性が川で洗濯をしている光景を目にしました。韓国人の皆さんからも『パルレ・パルレ(洗濯・洗濯)』という声が聞こえます。雨続きの後の好天……たしかに洗濯日和です。それにしても集団で川でお洗濯……のりまき・ふとまきとも初めて目にする光景でした。
さて、温井閣に到着です。私たちのバスは他のバスと較べて10分以上も遅れていたので、温井閣での休憩はまさにトイレ休憩だけといった感じで、すぐに海金剛へ向かって出発しました。



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