DMZを越えて
(第十一章)


ソウル・桂洞にある現代ビル。この中に現代峨山がある。


(2004・2・21 完成)



 統一展望台に到着すると、金剛山観光を終えた多くの韓国人観光客は、どんどんと観光バスに乗り込んでいきます。行きに公共交通機関で統一展望台まで来たのりまき・ふとまきは、帰りも公共交通機関を使って何とか束草まで帰らなければなりません。まあ、北朝鮮から韓国まで戻って来れたのでどうにかはなるのでしょうが、とにかく束草へ戻る方法を見つける必要があります。
 統一展望台にはバスの停留所があったので、まずはそこに行ってみることにします。バス停には行きの金剛山コンドミニアムで金剛山観光客らに『シャトルバス』という名の路線バスに乗るように働きかけていた(というより乗客を詰め込んでいた??)男性がいました。私たちはその男性に「束草へのバスはどれですか?」と聞いてみます。すると男性は近くに停まっていたバスを指差しました。そのバスは金剛山への行きに降ろされた襄陽(ヤンヤン)空港からのバスでした。バスには運転手がいたので聞いてみると、「4時に出発します」。といいます。行きは何のために走っていたのかよくわからなかった襄陽(ヤンヤン)空港から統一展望台へのバスは、どうやら公共交通機関で金剛山陸路観光へ行った観光客を乗せる役割も担っていることがわかりました。
 4時にはまだ30分以上の間がありました。少し待ってみることにします。するとまもなく、今さっき私たちが束草へ行くバスについて質問をした男性が飛んできました。「あのバスがもっと早く出発しますよ」。男性は私たちにそう教えてくれます。見ると行きに金剛山コンドミニアムから乗り込んだ路線バスの『シャトルバス』がやってきたではありませんか!

 私たちは再度、実の正体が路線バスである『シャトルバス』のお世話になることになりました(笑)。バスには現代峨山の洪さんを始め、BBSの3人組も乗り込み、約15〜6名ほどの金剛山観光客を乗せて統一展望台を出発しました。
 バスは快調に進み、10分ほどで金剛山コンドミニアムまで到着しました。多くの金剛山観光客がここで降りていきます。現代峨山の洪さんらBBSの3人組も金剛山コンドミニアムでバスを降ります。洪さんの背中にははっきりと疲労の色が見てとれました。BBS放送の通訳という大役、お疲れ様でした!
 バスはその後も快調に進んでいきます。最初、バスは乗客を乗せることなく飛ばしていきましたが、途中から文字通り路線バスになって、停留所に停まってはお客を乗せていきます。束草にかなり近くなったところでは、高校生の下校とぶつかってしまい、大量の高校生が乗り込んできました。この高校、なぜか女子高生の制服がベージュが基調にまとめられたかわいらしいものでした。
 高校生らしく、集団でなんだかいろんなことをぺちゃくちゃと話していました〜〜韓国語がほとんどわからないので、何を話していたんだかほとんど理解できませんでしたが、ただ、しきりと『ノレバン、ノレバン(カラオケ、カラオケ)』と連呼していたのはわかりました。
 多くの高校生たちは束草の街中に入って、市場の近くで降りていきました。さだめしみんなでカラオケにでも行くのでしょう(^o^)。束草の街中は夕方であることもあって、道がかなり渋滞していました。結局6時近くになってやっと束草の高速バスターミナルまで戻って来ました。

 高速バスターミナルまで戻ったところで、kuniさんに電話をします。電話をすると、kuniさんからは「kuniさんご夫妻と夕食を一緒に食べませんか?」とのお誘いがありました。私たちは喜んでkuniさんご夫妻と一緒に夕食をいただくことにしました。
 とりあえず金剛山へ行く前の2日間泊った、海の良く見える11階のお部屋まで戻ります。部屋に戻って金剛山からの重たい荷物を下ろし、ひと息ついているとkuniさんが迎えにきてくれました。
 下まで降りてみると、そこにはkuniさんの旦那さんが待っていました。私たちは車に乗り込んでさっそく出発です。車は束草の街を抜け、北のほうに進んでいきます。車はやがて道沿いの海鮮料理店に停まりました。そこのお店はkuniさんの旦那さんの知人が経営しているお店とのことでした。
 ひとしきり歓談していると、新鮮な刺身がやってきます!私たちの目の前には何種類もの魚の刺身盛り合わせと、大きなひらめの刺身がドーンと並びます♪どれも美味しそうですが、量が半端ではありません!刺身は新鮮で、美味!美味であります♪まだまだお腹の調子が完調ではないのり・ふとでしたが、ぱくぱくとお刺身を頂きます♪kuniさんのだんなさんは魚が大好物だそうで、追加注文で焼き秋刀魚まで頼んで、ぱくぱくとほお張っていました(^o^)。
 お刺身の後は魚のアラを煮込んだメウンタンです。唐辛子と魚の出汁の効いたスープがたまりません!これもまた美味!美味でありまする♪さすが東海(日本海)の海の幸は美味しいものです♪♪
 kuniさんご夫婦との美味しい夕食の後、私たちは宿泊場所近くのスーパーマーケットまで送っていただきました。スーパーで明日の朝食の買出しをしまして、11階のお部屋に戻ります。お部屋に戻ってシャワーを浴びてさっさとお休みです。どうも金剛山観光に行くと必然的に良い子生活となってしまいます(大笑)。

 ところが……深夜(多分夜中の2時ごろ)に、廊下をドタバタドタバタと飛び跳ねながら、『コンド♪コンド♪コンド♪♪』と嬌声を上げつつ女性軍団がやってきました!どうも束草で週末を過ごそうとした女性の友人同士が、深夜到着したようであります。ま、これからお楽しみなのでしょうが……やかましいというよりもとにかく元気が有り余っている感じでした。
 あげくの果てに朝の5時ごろから、ホテル直下の屋台が85ホンくらいありそうな大音響で音楽をかけ出しました!思わず窓から外を見てみたのですが、とにかく冬の朝5時ですから人なんかほとんど誰もいません……いったい何の必然性があって音楽なんてかけたのでしょう?そもそも屋台の営業をすること自体意味があるのでしょうか??束草の海辺が騒がしいのは夏ばかりではなさそうです(@_@)。

 2003年12月5日(金)
 今日は今回の旅行の実質最終日です。朝、のりまき・ふとまきは6時半頃に目を覚ましました。天気は下り坂のようで曇っています。私たちの金剛山行きの間は天気が持ってくれたようです♪これも日頃の行いが良いからでしょうか???
 今日は昼過ぎにソウルで飴屋の金さんと待ち合わせの予定です。そのため昨日の夜、スーパーで買ったパンとジュースをいただいたらすぐに出発です。
 束草の高速バスターミナルは、平日であったこともあって人は思ったよりも少ない感じでした。のりまき・ふとまきは午前8時のバスに乗り込み、一路ソウルを目指します。バスは渋滞もなく快適に進みます。天気はいまいちですが、車内は暖房も効いてぽかぽかであります。やや寝不足気味の、のりまき・ふとまきはいつしかうとうとしてしまいました。

 バスはやがて、束草行きのバスがいつも休憩するソサという名のサービスエリアで休憩します。休憩時バスから降りてみると、さすがに少し寒いです。休憩後、バスは一路ソウルを目指します。平日の昼前ですから、渋滞もなくバスはソウルまで進みます。
 12時頃、バスは江南の高速バスターミナルに到着しました。金さんのことだからもう待っているかと思いましたが、未だ到着していませんでした。電話をかけてみると『バスに乗り遅れてあと2〜30分かかる』。とのこと、そこでのりまきは金さんを待っている間に、電話でYMCAホテルの予約を済ませました。
 12時半ごろ、金さんがやってきました。金さんに『YMCAホテルの予約をした』。ことを話してみると、「江南のバスターミナル近くに安い旅館があるのに〜」と、話していました。
 とりあえずYMCAホテルまで行って、荷物を置いてから行動開始です。地下鉄の中で金さんは「金剛山の現代の観光ガイドは、だいたい2年間ガイドの仕事をするのです」。と、説明してくれました。
 YMCAホテルでチェックインをして荷物を置いてから行動開始です。まずは東京で言えば皇居にあたる景福宮を観に行きます。初めて行ったのですが結構広い宮殿ですね〜〜(笑)。大きさといい雰囲気といい、北京の紫禁城と日本の京都御所の中間よりもやや紫禁城の雰囲気に近いかな〜〜という印象でした。
 それから金さんは景福宮のとなりにある民俗博物館に案内してくれたのですが、時間もないのでここはパスしました。民俗博物館の替わりに、のりまきは金さんに頼んで金剛山観光の元締めである、『現代峨山』が入っている建物まで連れていって貰うこととしました。
 歩くこと約10分あまり、目の前に高級そうなビルが見えてきました。現代グループ各社が入っている桂洞の現代ビルです。そういえばビルの脇の木々の茂みは、2003年8月4日の鄭夢憲・現代峨山会長の投身自殺後にテレビで見た記憶があります。金さんは私たちをビルの中にも少し案内してくれました。やはり韓国有数の現代グループの本拠地、とってもきれいでした。また、お掃除のおばさんがクリーナー付きのスクーターのような乗り物を乗り回しながら、常に床を清掃し続けていたのが印象的でした。

 現代峨山の見学を終えた後、金さんは古本探しも手伝ってくれました。現代ビルの近くの仁寺洞で『古本屋はどこにある?』と聞いてくれた金さんは、私たちをまず東大門市場の近くの駅まで案内してくれました。金さんはあちこちで古本屋のありかを聞いてくれたあげく、結局東大門市場の一角に古本街があることがわかりました。
 東大門の古本街を見たのですが、かなり新し目の古本を扱う店が多く、のりまきが探してみたかった昔の本は少ないようでした。しかしそんな中でもある古本屋のオヤジが「昔の金剛山の本を持ってきたら高く買うよ!」と言っていました。鶴橋の古本屋のオヤジさんの言うように、たしかに韓国では昔の金剛山の本は高く取り引きされているようです。
 それにしても確かに東大門市場は色々なものが売られていて、とっても面白い場所でした!このところの旅行は本当、金剛山一色ですが、ガイドブックに書かれているような東大門・南大門市場巡りなどもきっと面白いに違いありません(笑)。

 それでも金剛山にこだわるのりまきは、最後は教保文庫というソウル最大級の本屋を覗きました。本屋めぐりの後に、のりまき・ふとまきは金さんと夕食を食べました。夕食は金さんのお薦めでキノコの焼き肉を頂きました。日本の焼き肉とは雰囲気が違い、焼き肉とすき焼きの中間のような料理で、なかなか美味でありました(^o^)。
 夕食のあと、金さんは私たちをYMCAホテルまで送ってくれました。感謝であります。それからのりまき・ふとまきは仁寺洞までお茶を飲みに行って、帰りにホテル近くの屋台でお菓子を購入して、ホテルでゆっくりとお休みです。

 2003年12月6日(土)
 いよいよ日本帰国の日が来ました。のりまき・ふとまきともに朝6時過ぎに起きてしまいました。疲れが出たのでしょうか……最後の最後になって、のりまきはまた体調を崩してしまいました(-_-メ)。
 昼少し前の飛行機で日本へ戻ります。出発時と同じく、体調不良で疲れきってのりまきは夕ごはん前に家へ戻りました。本当にお疲れでしたが、色々な出来事があって充実充実の旅でありました。




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