巻14 
−海老名の性格、その新年会の惨状ー 
「海老名、大学4年 そのD」

Y大学教育学学士(心理学)
今 柊ニ
黒崎 犀彦
共著(原本執筆は、今 柊ニ)1994.6.18


〜はじめに〜
今回で14巻目となる当研究であるが、多分史上最強及び史上最悪、史上最低の特集号である。今回は特に黒埼学士の口述に作成された。海老名研究における集大成がここで展開されているとも言えよう。
まあ、何しろスゴイ特集だ。清書しているうちに私は何度も気持ち悪くなったり、頭が痛くなったりした。かくなる苦難を乗り越え、作成された研究である。
決して途中でやめることなく力を込めて読んで頂きたい。
今 柊二


1章 はじめに
今:こんにちは。4時にカツカレーを食べた今です。
黒:4時に大盛りカレーを食った黒崎です。
今:奇遇ですね。これは何かを象徴しているのでしょうか?
黒:まあ、ひとつのシンクロニシティとでもいいましょうか。
今:ユングはカレーか。まあ、梅雨ということもあって、雨が降っています。どうやら今日は呪いの雨ではないようですね。
黒:そうだといいんですけど、でははじめましょうか。
今:今回は組曲形式でお送りします。

2章 組曲「1990・新年会」…第一組曲「序曲」(プレリュード)
今:さて、1989年は教育実習を乗り越え、そして人生の最大難関の一つでもある就職活動でも、見事に公僕になる道にのって、意気揚々の海老名でしたが、89年秋くらいから、またしても卒論、そして相変わらずこう着状態の恋愛関係と暗雲がたちこめてきました。そして年が明けたのです。
黒:秋ごろから運気が低迷し始めていた海老名は、この時期、あの奇跡の人「サイババ」に会いに行ったという噂もあります。
今:アップトゥデイトだなぁ。
私は、当時のことだから、大韓航空撃墜事件の ハ○○ マ○○に会いに行ったのかと思いました。ひょっとして、海老名は北朝鮮の工作員だったかもしれません。そういえば、北朝鮮は宇宙人とつながっているのかも。「労働1号」は海老名の宇宙船なのかもしれません。


黒:(あきれて)本題に入りますよ。年があけ、さあ卒論完成まであと一息ということで、1月の中ごろに有志を募り、とりあえず、ゼミ室で、昼間から酒を飲みつつ新年会を行うことになったのです。ああ……。
今:気をしっかり持って。思い出したくないでしょうが、フロイトの精神分析でも次のように教えているじゃありませんか。つまり、原因となっている精神的外傷(トラウマ)を意識上に持ってくることこそ、最大の治療法であると。だから、あなたがここで語ることは、あなたの治療になるのですよ。
黒:そうは言っても海老名は精神分析的に、いや因果論的にとらえられる代物ではありません。
今:まあ、そう言わないで、海老名の引き起こした新年会の惨状をここで吐露して、あなたのそのトラウマを除去しようではありませんか!!
黒:わかりました。話を続けさせてもらいましょう。「お酒と海老名」については、すでにこれまでにも述べたとおりですが、このとき海老名が飲んだのは運悪くウィスキーという大それたものだったのです!!たちまちのうちに海老名は出来上がり、たこ八郎のようになったのです。あまりの騒ぎに教官室から心配したN先生がやってきて、


と聞きましたところ、

と言ったのです。
今:ふーん、
《海老名×お酒=暴れる+げろ》
という公式がありましたね。ここで「暴れる」の項が使われたから後は…「げろ」だけですね。
黒:では、本編です。

3章 組曲「1990・新年会」…第二組曲「アップチャックマン」
今:アップチャックというのは、言葉はかわいいですが、実はUPCHUCKの意味は…。
黒:ゲロるということです。例によってひとしきり大騒ぎした後、やはり恐ろしい海老名の静寂がおとずれたのです。

とても家まで帰れそうにありませんでした。そこでこころある後輩が、「海老名さんを車で送って行きます。」と言ったのです。結局、私、海老名、後輩を乗せた車は一路エビナ(カタカナは地名)へと向かうこととなったのでした。

海老名にはしっかりとビニール袋を持たせて。ところが破局(カタストロフィー)がおとずれたのはあまりに早すぎました。車に乗って2分とたたないうちに、早くも海老名はビニール袋に





4章 組曲「1990・新年会」…第三組曲「ごむたいな男」(いよいよ主旋律♪)

黒:結局、みんな我慢したものの、エビナまで行けそうにありません。そして、エビナへの道のりの途中にあったものは…。
今:黒崎学士の家です。


黒:はからずも、私の家で海老名を休ませたほうがいいということになり、イヤだったけど、海老名を私の家へ連れていったのです。家に着くと、海老名はとてもひどい状態だったので、やむなく布団に寝かせました。

海老名はピクリとも動きません。そうこうするうちに日も沈み、ルチオフルチ(イタリアホラーの監督)以上の恐怖の夜がやってきたのです。
とりあえず、私は海老名に「大丈夫か?」と声をかけてみました。
「いくらか気分が良くなった。」
と言うので

「海老名、そういう時は風呂に入ると結構気分が良くなるものだぜ!!」
と言わなきゃ良かったなぁ……
今:でも、言っちゃったんですよね。くわばらくわばら
黒:W亭(黒崎のアパート)を二人で出て、私が通っている銭湯へ行きました。

見た感じでは海老名もいくらか元気をとりもどしたように見えたものですが……。
今:見かけは良くても、中身はわからないのが、海老名です。
黒:銭湯からアパートへ戻った時のことです。部屋に入るや否や海老名は


と言って濡れた頭のまま、私の布団へともぐりこんだのです!!「ああ…私の枕が…」と思うまもなくとんでもないことが始まってしまいました。
まず、濡れたタオルをベチャとこたつの上に置きました。


そして、頭から布団をかぶって寝ている海老名は突然

という声を発し始めたのです。次の瞬間、布団の手が出てきて、丸めたティッシュをこたつの上に

ポイポイと捨て始めたのです。あまりの連攻に文句も言えない私をよそに、こたつの上にはティッシュの山が出来ていきました。

そして、海老名はだめ押しとも言える決定的なセリフを吐いたのです。
「黒崎、今日帰れそうにないから、お前のうちに泊めてくれ。」
ショックでしたねアタシは。
今:まさにピカドンが落ちたみたいですね。
黒:そのぐらいの衝撃でしたね。そして、海老名はいっこうに布団から出る様子はなく、夜も更けていきました。何しろ、冬のことですから、とても寒かったですけど、電気ストーブしかないため、私は電気ストーブの前で体操すわりをして、丸くなっていたのです。


その横で、布団をかぶりタンを吐き続ける海老名。
黒:殺してやれば良かった……。
今:……(圧倒されている)

5章 組曲「1990・新年会」…第四組曲「朝になってもうめずかずお」(最終楽章)
黒:朝が来ました。私はどうやって寝たんだか覚えていません。ともかく、それはそれは長い夜でした。目覚めた私は喉が渇き、水を一杯飲もうと思って流しへ行ったのですが……

蛇口に近づいた途端変な臭いがします。近づいてみると、何かすっぱいような…あの吐しゃ物の独特の臭いでした。吐いたのはいいけど、水を流さない。まさに海老名ちっくな行動でしょう。さすがに倒れそうになりましたが、ついに怒りに耐えかね、すっかり元気になり帰り支度をしている海老名に「海老名、吐いたのはいいけど、水を流せよな…」と言いましたが、海老名は


今:…そして黒崎は流しにつまった海老名のゲロの掃除をしたのでした。

今:…まあ、なんと言ったらいいのか…これで全部聞き終わりました。きっと明日はいいことがありますよ。
黒:…次回ついに最終回をむかえます。
(エンディングテーマ 坂本九 「明日があるさ♪」)


はじめに  巻13←  →巻15 ホームへ   ふとまき部屋へ   のりまき観察日記へ