巻6 
ー海老名の性格・アガペーとエロスー 
「海老名、大学3年 そのA」


Y大学教育学学士(心理学)
今 柊ニ
黒崎 犀彦
共著(原本執筆は、今 柊ニ)1994.2.19


〜読者からの反響〜

「濃厚でした。」……T氏(海老名大学時代の親友)
「好調ですね。」……黒崎学士の職場の人々

〜決定速報〜
最終号にて、海老名本人を召換!!
はたして今後何冊目で最終号となるのかは皆目わからないが、ともかく最後には海老名本人に登場してもらい、3者会談を取る事が3月8日深夜決定!!“海老名”の入手については、黒崎学士が一手に引き受けることになり、今後の動向が注目される。

1章 はじめに
今:ああ、気持ち悪い。これというのも凶作のせいですね。
黒:肉を食いすぎたんですよ。何を言っているんですか。
今:くそー、2000円も出したのに(注1)それでは今回もはじめましょう。

2章 海老名、愛、その種類
今:今回のテーマは“愛”ということで話を進めていくことにしましょうか。勿論、黒崎学士と(ふとまき注:以下の…の部分は黒く塗りつぶされている)…………。
黒:だまっとき!!
今:あっ、また失言してしまいました。ええと、そう今日は海老名くんの愛がテーマなのです。で、海老名の愛と一言で言っても、様々な意味が含まれているのです。最初はその分類からしていくことにしませう。
黒:そうですね。
今:まず、愛の概念から話を進めることにします。下の図を見て下さい。


黒:ほー、アガペー糸とエロス糸ですか。これは一体どういう意味ですかねぇ?
今:まず、アガペーとは、これは高校の『現代社会』で習いますが。
黒:ぼくの頃は倫理社会だったな。
今:まあ、日本の中等教育というのは、ころころ変わるから仕方ありません。何しろ文部省と言うのは愚民化政策を実施していますから(注2)。まあ、それはさておき『アガペー』とは『神の愛』という意味です。
まあ、日本で言うところの『いつくしみ』『他者への愛』またはラテン語の『カリタス』を包括する言葉です。海老名においてもこのアガペーは存在しています。まず、彼は弱者への愛を心がけていますが、ここに大きな彼の間違いがあるのです。
黒:それは何ですか?
今:もちろん海老名自身が弱者だということです。
黒:考えようによっては第一級障害者と言えます。身障者手帳を持っていてもおかしくはありませんから。
今:さすがはプロの方。言葉もテクニカルターム(専門用語)をお使いになる。
黒:話を戻しましょう。現実的な面から見ると、海老名は異性に対してはやさしかったのですね。
今:あっ、黒崎学士、異性に着いては後のエロスコーナーでじっくり議論したいと思いますので、ここでは、同性もしくは老人、または子供への海老名の愛の気配り方法について見ていきます。私はこの件については、象徴的な事件を目撃しているのです。これはかなり示唆的なものを含んでいますので良く聞いて下さい。

3章 やはり、海老名は勘違い大将だった!!
今:あれは正確にはいつだったか忘れましたが、たしか学生の時の話です。私が散髪をしようとして『ヘアプラン』(注3)に行ったのです。すると、その店内にはちょっとおかしい雰囲気が流れていました。ヘンだなと思って店内を見わたすとカリフラワーのような頭をした小男がちょこんとすわって金切り声でしゃべっていたのです。


黒:それこそ、だれあろう海老名ですね。
今:そうです。黒崎学士の100分の1くらいしか、そういう時のきまずさは、私は感じていませんでしたが、なまじ慣れていないだけにショックはデカかった。できれば、このまま帰りたかったけど、もうあとには引けません。
黒:私もそういうランデブーがありましたよ。
今:で、仕方なしに海老名の相手を適当にしながら、時が過ぎ行くのを待っていました。で、ようやく私の散髪が終り、時悪しく海老名も同時に終わってしまったのです。
黒:つまり、一緒に帰らなくてはいけなかったのですね。

今:そうです。それで私は一刻も早くヘアプランを立ち去りたく、海老名を早く引きずり出そうとしたその時でした。

入口にはお母さんに連れられた幼児が座っていたのです。海老名は何を思ったのかツカツカツカとその幼児の前ににじりより、いきなり、顔面を崩壊させつつ、


とやったのです!
その時の恐怖と言ったら、あなた……。
黒:今学士の心中お察しします。
今:私はまだいいのです。しかし、大人の私ですら相当の恐怖を感じる海老名のベロベロバーを浴びた幼児はまさしくベトナム戦争時に枯葉剤を浴びたBちゃんDちゃんみたいなもんですよあなた。
黒:はあ。
今:ヘアプランの人も危険を察知したのか、海老名の背後から『今さんが待ってるよ。』と、と…愛の手を入れてくれましたが、遠ざかりながらも海老名は相変わらず


黒:やはり幼い子供でも外見で判断するんですねぇ。
今:いや違う!!そんな生易しいもんじゃない。海老名は大人でも外見がコワイくらいなんだ!!問題はこのあとの海老名のコメントなんです!!
「イヤーあたしは子供が好きだからねぇ。」
でも、子供はイヤがってんだよ、テメー!!
今:事実、子供はしばらく硬直状態がとれませんでした。さて、黒崎学士、この事件が示唆するのは何かおわかりになりますかね?
黒:タイトル通りですね。海老名の愛とは勘違いという事です。

4章 やっぱりエロスも勘違い!!
今:さて、エロスです。アガペーが『神の愛』で普遍的に他者全てに与えられる愛だとすれば、エロスは『一人のみに与えられるもの』です。アモーレとも言いますね。さて、私は大学3年からあまり大学に行かなくなりましたので大学を中心とした海老名のエロスの展開については詳しくありません。黒崎学士、ヘルプ ギブミー。(注4)
黒:OKサー。ではあらすじを話しましょう。先の4巻で話した通り、海老名はドイツ語文法を再履修しておりました。本来なら暗い気分でゼミ室へ戻ってくるところなのですが、何だかとっても元気に授業から帰ってくるのです。不信に思った私「何だか元気だな?」と海老名に言いましたところ、まってましたとばかりに以下のような能書きをたれはじめたのです。


今:うーむ、海老名型女性妄想症の初期段階ですね。相手のちょっとした何気ない行為を自分への行為だと勘違いして、それからはスサまじい勢いで「自分を好きだ」と理論構築していくと第2段階です。
黒:当時のことをもう少し話しましょう。私はK君と(注5)よく異性の事について話し合いをしたものです。自分で言うのもなんですが、我々の会話には結構リアリティがあったと思います。ところが、そのかたわらで頑張って異性ネタを話す海老名はまさしく徳川埋蔵金があると言い張る糸井重里氏そのものだったのです!!
今:はは〜ん、海老名型女性妄想症の発病の原因はあなたたちの友人関係と言う「社会」で、「社会化」しようとしたのですよ。
黒:「早く人間になりた〜い。」という海老名の叫びが聞こえてくるようですな。
今:でも、やっぱり海老名と人間は遺伝子の数も違うので人間にはなれません(注6)。
黒:話を戻すと、海老名の話の随所には、一緒に食事をしたり、遊んだり、そういうことを子供のように大喜びしていたのですが、実は、その彼女が海老名に好意を表現するような言動は一言も聞いたことはありませんでした。


今:これは、時期としてはやはり大学3年の前半ですかね。
黒:そうですね。さて、私もそうこうするうちにHさんという女の子にあって話をしてみたところ……彼女は非常に気持ちのやさしい女の子だという事がわかったのです。この時、私はピンと来ました!!つまり彼女のこころは福祉の精神にみちみちていたのです!!
今:世の中上手く行きません。せっかく海老名がエロスのつもりで付き合おうとしたのに、向こうはアガペーもしくはカリタスだったわけです。海老名型女性妄想症での典型例と言えるでしょう。
黒:または、女の子と海老名の関係はマイケルジャクソンとバブルスくんの関係にも近かったのではないでしょうか。
今:やはり、人間じゃないですからねぇ。

黒:その前後、つまりHさんの前後にも彼はO○○ ○○子、B○ ○子と二度ほどマラリヤ熱にうなされたようですが、もともと何のタネもまかないところに穂はみのるわけはありません。“イザという時の行動力”というタネが海老名にはなかったわけです。
今:オナニー大将ですから、彼は要するに最後まで彼は妄想壁がなおりませんでしたね。ところで、現在はどうなんですか?(1994,2,15現在)
黒:別に海老名をホメルわけではありませんが、あのころとは違い、マメな行動力が身についているようです。その証拠に、現在でもHさんなどとは時折会っているようです。Hさんは相変わらず(アガペー)でしょうけど(笑)。海老名に与えられたテーマはそこからどうやって一歩前進するかでしょう。言い換えれば、ピノキオがいかにして人間になるかと言うことでしょう。
今:魔法でも使わない限りダメでしょう。
黒:ハハハ。
今:さて、今回は愛というテーマで脱線しつつお送りしましたが、次回から通常ペースに戻り、盛り沢山の内容をほこる3年後半に突入します。
黒:乞ご期待!!



【注解】

(注1)……ステーキハウスAで、本誌の会談は行なわれたのだが、今学士の注文したステーキ定食がまずかったからの発言。今学士、普段なら1000円程度のものしか食べないのに、キバって2000円出した為、一層腹が立ったらしい。

(注2)……今学士の仕事が投影されている。彼の勤務先で発行している『合格○ーダー』での論調まで、かなり『ワークホーリック化』してきたとも考えられるが、『人生をなめている』今学士のこと、大丈夫だとの意見が大半だ。

(注3)ヘアプラン……本シリーズにも何回も出てくるSの美容院。現在も黒崎、トロ、海老名、今が利用していて海老名情報の宝庫でもある。

(注4)……それ以前の愛については既刊を参照のこと。

(注5)かつし……以前黒崎、今、海老名の共通の友人だった男。大学卒業後裁判所の調査官になり、おまけに“常人”(ふつうの人間の意)になってしまい、仲間から外れた。今はOにいてやがて帰ってくるらしいが、彼の“マレ人”(ヘンな人間)復帰はあるのか?

(注6)……染色体と遺伝子を勘違いしている。






  巻5←  →巻7  ホームへ