のりまき観察日記〔嵐のマンムルサン〕旅行編

おすましのり

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あんなに嫌がっているのかと思うのりまき観察日記も自分の金剛山日記や旅行記と共に普段ののりまき観察日記と別にして書くようにとのりまきは言っている。
な〜んだ、案外書いて欲しいのだな〜(笑)。
何度も書くようであるが、昨年、キューバに行きたかったのが旅行の計画の頃テロ事件があり断念。そんな中たなぼたのようにして行くことになった金剛山。どういうわけかすっかりはまり、HPまで作り出した。またどうせそのうち飽きるだろうと思いきや、忘れたころにそのページを見た感想のメールが寄せられたり、旅行についての問い合わせが届くとすっかり気分が良くなり、またまたはりきるのりまき。加えて北朝鮮系に興味のある人というのも何故か凝り性の人が多いようで、のりまき他の人の充実した本やHPなどを眺めてはで“負けるわけにはいかない”と思うようだ(笑)。そんな中、金剛山観光は色々と変化があった。学割がきくようになったり、外国人割引が出来たりした。決して黒字とは思えないし行動制限の多いあの旅行がなくなってしまうどころか、更に頑張っているのは一体なんでなんだろう・・・・・。子どもたちが修学旅行で行く?何を感じるんだろう。観光地に立っている北の人に「貧しいのですね。」などと正直な意見や感想を言ったりはしないのか・・・・・。
そしてシェンヤンの亡命事件などもあったり、韓国ではサッカーのワールドカップがあったり、なんだか又行かなければという気持ちにさせられたようだった。

「今年の夏も金剛山へ行こう!」
とのりまき。
またか・・・他のところにも行きたいよ。と思うと同時にどうせ凝るなら徹底的に行ったほうがいい・・・。と思うふとまき。本来けちなふとまきは高い旅行費の事が気になっていた。更には一人っ子であるのりまきの両親との同居の話も進んでおり、お金も貯める必要もあった。
「一人で行ってきてもいいよ。」
と言うと
「どうしてふとままきはそう冷たいんですか?」
といじけている。一人でもどうぞ、と言っているのになんで冷たいですね。などといわれなけりゃあならないの(笑)。結局はお金はのりまきが出してくれるというので(単純なふとまき)私も行くことになった。

7月13日ころ
さあ、旅行も近くなった。のりまきはそろそろ準備を始めだした。ルンルンである。特にこの夏から海水浴がはじまったということで「水着を持っていこうね〜♪カメラも買おう」などと言っている。我が家に誰かからもらった水の中でも使える使い捨てカメラがあったので、
「ここにあるよ。」
というが、なかなか使う機会がなく使用期限がとっくに切れていたのでのりまきは納得が行かなかった。しかし、
「海水浴が北朝鮮で出来てもまさか水の中まで何か変わったもの(北にしかない何か)がいるということはないでしょう。」
と説得して水中カメラは買わずに古いものを一応持っていくということで話はついた。旅行用のフィルムについては観察日記にも書いたが、せっかくふとまきが出かけたついでに400のフィルムを買ってきてあげたのに、
「天候を予測して僕が買うと言ったでしょう。」
と言うので勝手にしろ、と思ったし、
「じゃあ、私が買ったフィルムは今回置いて行きましょう。」
と言うと、
「せっかくですから一応、念のため持って行きましょう。」
と言っている。ふ〜んだ。
そんなわけで前回の冬支度とは違い身軽な支度でのりまきの準備が始まった。
ふとまきは、そんなに早くからしなくたっていいじゃん。なんてのん気に構えていた。結局前日仕事がありばたばたしてしまい支度が出来るのが遅くなってしまった。出発は始発電車だと聞いてはいたが気にも留めていなかったせいで寝る時間もいつもより遅くなってしまうと・・・・。
「だから早くから用意をすべきだったんです。」
とやけにクールにのりまきに言われた。悔しかった(笑)。

7月17日(水)1日目
そんなわけで出発。始発に乗る。のりまきの大学時代ののりまきのことを研究した“海老名研究とその実際”にも出てくるが、のりまき旅行というとどうしてこんなにはしゃぐのだろう。まず、声のトーンがあがる。「始発なのに人が多いな〜。」とか「この駅からこんなに乗ってくるんだ。」とかまあ、声が大きい大きい。朝の血圧が低いと言うがうそとしか思えない。そして何故か自分だけが知っていてふとまきに教えたいというような内容の話は更に声が大きくなる。ふとまきはあ〜はじまった。と思いつつ『私だけじゃなく周囲の人にも自慢したいんだな〜。』と思って聞いている。

声だけではない。歩く足取りも軽やかだ。

軽やかな足取り。このTシャツもお気に入り
横浜からはリムジンバスに乗ったがのりまきは車窓をきょろきょろ眺め落ち着きがない。これも旅行の時のいつものこと。横でふとまきはグーグー寝ることが多い。普通のカップルというのはどうなんだろうか。レディーファーストであれば外が良く見える席を女性に進めたりはしないだろうか。
我が家は「じゃあ、僕が窓際に座ります。」とさっさと奥に入ってしまうのだ。まあ、私は寝るからいいんだけど・・・(苦笑)。

成田に到着。大林監督らしき人が同じ飛行会社の列の一番前に並んでいる。のりふとも列に並ぶとアメリカの青年が何やら話しかけてきた。韓国から日本へ来てまた韓国へ戻ると言っている。のりまき、身振り手振りで青年と話をしていた。そして・・・・・。その後は更にテンションがあがる。
「今回の旅行も何か楽しいことありそうだ。」
外国人に話しかけられたから、今後の旅行も何か楽しいことがありそうだ。とはなんと安易な発想だろうか。

飛行機も朝の出発で天気も晴れ。窓際の2席とくれば当然又のりまきが窓際に座る。そして陸地を自分で見てはぶつぶつ
「この地形だから・・・。はっは〜ん。そろそろ九州だな〜。」とかなんとか言っている。毎回毎回良い席にすわる。たまに妻に窓際の席を譲るのは天気が悪い時か夜のフライトである。さすがはひとりっこ。

ソウルに到着しバスに乗り込む。乗り継ぎをして束草へ向かう。飛行機は成田を9時半発。お昼も過ぎお腹は空いていた。乗り継ぎが悪ければバスターミナルで何か食べようと言っていたが、15分程度で2台目のバスが出発だった。でも、前回も同じ路線を使用していて、途中の高速道路のパーキングでの休憩時間で食べられる時間があったので、そこで食べる事にして空腹のままバスに乗り込んだ。お腹が空いていると時間が長い。ようやく休憩のインターでバスが止まる。ハングル語を習っているのだから何分停まっているのか、出発は何時なのかを聞いてくれてもいいのに、のりまき時間も聞かずにバスから降りる。
「ねえ、何時に出るか聞いとこうよ。」
と言うのだが、聞かぬふりである。まずはトイレに直行。そして食べ物を探す。
のりまきは前回気に入ったクンマンドゥ(餃子のような食べ物)の売り場にいちもくさんへ向かう。ふとまきは「韓国ののりまき」が食べたかった。そこで売り場を探すが「韓国風のりまき」が見つからない。(あとで夏場は衛生上あまり売らないということを聞く。)どうしよう。何を買おうとうろうろしているとのりまきが叫ぶ
「早くしてください。バスが出てしまいます。」
だから出発時間を聞いてくれればいいのに・・・。それにそんなにあわてなくたって大丈夫だよ〜。と思いつつ
「前回はゆっくり買っても間に合ったからそんなにあわてなくても大丈夫だよ。」
というがあわてんぼうののりまきは自分の分だけ買うとふとまきに急げ急げとまくしたてる・・・。
結局食べたいな〜と思う物が見つからずにその時一番近くにあったハンバーガーを購入。
う〜ん。味はいまいち。のりまきに勧める。一口食べて
「うわ〜、あんまり美味しくないや。こりゃあクンマンドゥを2つ買えばよかった。」
そりゃあないだろう。だから言ったんだ。時間を聞いてって・・・・。それに食べたいものがなかったからクンマンドゥを買いにいこうとしたら
「え?今から買いに行くんですか?時間がありません。」
と言っていたではないか・・・・。バスはようやく出発。あ〜、クンマンドゥ買いに行けたよ・・・・。
後からクニさんに(束草に住む日本の女性)ハンバーガーなども衛生的にまだまだなので夏場は食べない方がいいと教えられる。(うあ〜ん。もう遅い。食べちゃったよ。)食べ物の恨みはおそろしいのだ。しかし、のりまきはそんなふとまきの事などおかまいなしで
「あ〜、美味しかった。前回同様楽しめました〜♪」
などと言っている。


休憩後もバス旅は順調で、午後の5時半頃には束草に到着。
ネットで知り合ったクニさんにご対面。笑顔の素敵な女性でありました。お子さんもかわいい!
クニさんはのりまきの旅行記ではふとまきの写真が多かったのでふとまきのことをのりまきだと思っていたようでした。おまけに男性だと思っていたようです(笑)。今回の金剛山の旅行中も「夫婦ですか?」とわざわざ聞かれることが多かったですが、そうやって聞かないとこの二人はいったい何者でどんな関係なのだか簡単には想像できないようです。一人が男、一人が女。とここまでは誰でもわかるようですが・・・・・。夫婦?友人?兄弟????と思うのでありましょう。クニさんにも
「のりまきさんの方が小さいのですね。」などと言われました。私は結構おもしろがりますが、このような姿の人と一緒に歩きたくないと思う日本の女性は多分多いだろう(笑)。


お得意のウエストポーチ。左は金剛山で買ったメイドイン北の帽子。右は白いTシャツに短パンそして汚れが目立たないという黒いソックス

余談だが、私たちは一人一人でも変人扱いされるが、その二人が夫婦というのもなんだか見る人によっては奇妙なようで。韓国の方々が金剛山観光で私たち夫婦と出会い、これがイコール日本の夫婦だと思わないことを願うのみである・・・・・(笑)。

夫婦?兄弟?友人?????

7月18日(木)2日目
翌日雪峰号に乗るべく船着場へ。
受付を済ますと今回のガイドさんは会社の中では日本語が一番上手いという男性であった。この人も線が細く落ち着きがない。笑顔も素敵だが自然の笑顔というより、頑張って作った笑顔である。勝手な想像でご本人には申し訳ないが食べても太らないタイプ、胃潰瘍か何かありそうなそんな雰囲気の人である。一生懸命苦労しているのだが、周りの人にはあまり理解されないようなそんな雰囲気をかもし出している。まるでのりまきを見ているようだった。
やはり類は友を呼ぶのかもしれない。『なんだかこの人とは縁がありそうだな〜』『おもしろいことになるかもな〜』と思った。

束草から船に乗る前
「船に乗る時にレントゲンを通るので途中のフィルムがあるとそのフィルムが没になるかもしれない」。と半端なフィルムを使い切ったあと撮りたいものがあったようだが
「今からでは36枚も撮れません。」と言っていたのに、結局新しいフィルムも撮り終えるのりまき。まあ、これもいつものこと。

そうこうしながらも船に乗る
船の中でものりまきはやはり落ち着かない。「ちょっと見てくるね。」といいながら
あちこち見物へ。船の中でも他動である。今回は前回とより人数も多く、船の中の座席もほぼ満席である。もちろん指定席。私達の席は奥だったのでいちいち人の前を通らなければ外に出られなかった。まあ、私は一応遠慮もしてあまり何度も席を立たなかった。しかし、のりまきはそんなことおかまいなしである。何度も席を立っては外へ行きすぐに帰ってきたり、しばらく戻ってこなかったり。何度か席を立ったあとに・・・。戻って来て
「ふとまき、大変良いものがありました。ちょっと一緒に来てもらえますか?」と言うので仕方なくついていくと船の中の売店だった。
>金剛山のなかなか良く出来た写真集がありました。船内で見ることができると考えたのりまきは、さっそく購入します。
30000ウォン(約3000円)一体何冊写真集を買えば気が済むのだろう。なんでも写真がきれいだと言っている。もうこうなるとやけくそのふとまき。ビデオも3種類売っていてどのビデオを買うかのりまき悩んでいるので
「どうせ買うんでしょ。全部買っちゃいなよ。」
と言った。結局は温井里にもビデオは売っていたことが頭にあり、そのビデオがどれなのか見て帰りにどれかを買うと言っていたまま買い忘れた。

まあ細かく書くと、きりはない(笑)。

ガイドさんのことを書けば、今回の男性ガイドさん。なかなか細やかな人である。のりまきが船で買った金剛山の写真集も念のため、と預けさせられた。携帯電話も北へは持っていけないので殆どの人が預けることになっていたが、持っていないわたしたちを何度も何度も「本当に持っていませんか?」と聞いたりもしていた。

船が着き、北への入国審査も無事に終わる。さすが2回目。わたしたちも慣れた?ものである。ホテルに荷物を置きさあ、温泉へ。と言っても勝手にいけるのではないこのツアー。ホテルの前にバスが待っている。
部屋から出ようとした時に、旅行中に首からかけていなければならないふとまきの旅行者カードが見当たらない。さっきベッドの上にはずしたのに・・・・・。バスの出発時刻がせまり焦りだす二人。普段、こういうときはたいていのりまきが自分でしまっていて「ないない」と騒いでいる。ふとまきは正直『またのりまきの仕業に決まっている』と思ったがのりまきはふとまきのカードがないものだからすっかり自分には責任がないと思い
「え〜??ないんですか?それは大変。早く探してください。」ふとまきを責める口調で言っている。
ふとまき自身考えられる場所をすべて探したがない。申し訳なさそうに
「一応念のためのりまきの荷物の中も見てもらえませんか?」

・・・・・・・。すると・・・・・・。のりまきの袋の中から出てくるではないか。
ふとまきのツーリストカードを自分で自分の袋に入れつつ忘れているのりまき。
そしてその後はいつものように「あ〜、僕はなんてなさけない人間なんでしょう。反省のあけくれです。」と何度も聞くせりふを言うのである。
のりまき、いつでもあわてていると言える。慌てているので自分でカードを入れつつ忘れているのだ。考え事をしている時に物を置いたりすると後でどこに置いたのかわからなくなることはあるが、のりまきの日常というのはいつもそんなようなのである。

しかし、まあ、自分で入れたはずの荷物もそんな調子で
「あれ?使ってないフィルムはどこにしまいましたっけ?」とか
「あれ?書類はどうしましたっけ?」などとうるさいうるさい。その度にのりまきが自分でしまったのに何故かふとまきが
「確か上のポケットに入れなかったっけ?」と言うとその通りに入っている。
「ふとまき様は千里眼ですね。」
と褒めているようだが、いつもとなると褒められたような気がしない。意識して行動して欲しいものである。

バスが一度温井里という私達が食事もし、お土産も買い、サーカスも見る休憩所のようなところで停まる。
今回は雪峰号に載るときにぬいぐるみを着た人達との記念撮影があり、私達も写してもらったのでその写真が出来ているだろうと温井里内にあるコダックのお店に行ってみた。写真があったので買おうとレジへ行く。するとその写真屋さん
「前にも秋のころ、来ませんでしたか?」と英語で聞いてくる。
「イエス」と言うと
微笑んでいる。忘れるはずがない。というような雰囲気である。彼女の記憶力が素晴らしいのか、はたまた奇天烈な二人だったので忘れようにも忘れられなかったのか(笑)。

その後。うるさいのりまきと離れられる温泉タイム。一人でぼ〜っとつかる温泉の気持ちの良いこと。約束の時間ぎりぎりまで入ることにした。そういえばここでもあわてんぼうののりまきの出来事があった。温泉には石鹸はあるがシャンプーはない。そのことを覚えていた私たちは家から旅行用のシャンプーを持っていった。しかし私はこの温泉にシャンプーがなかったということは覚えていなかった。確か金剛山では自分で持って言ったシャンプーを使ったな〜という程度の記憶だった。温泉へ向かう時にのりまきが言う
「シャンプー持って行きましょう。」と。
で、二人分のシャンプーとリンスをふとまきのバックに入れとりあえずホテルの部屋から出る。
結局、慌てたままそれぞれ入場してしまい、結局ふとまきが二人分のシャンプーを持って入ってしまった。あ〜、せっかちくん。ま、今回のことはバックに入れたまま気がつかなかった私も悪いのだが、チケットを買うなりのりまきは喜びいさんで湯に向かったので渡しぞびれてしまったのだ。
結局のりまき、温泉で頭は洗わずにホテルにてシャワーを浴びることにした。

シャワーを浴びると・・・。雨が降って来た。明日はメインの山のぼり。天気はどうなのだろう。


7月19日(金)3日目
18日から降りだした雨は止むどころかどんどん降っている。天気が気になるのかなんだかんだと眠れぬのり。めずらしい。もともとのりまきは乗り物では自分の寝ている間になにか面白いものがあるかもしれない、それを見逃してはいられないと眠ることはほとんどない。そのため旅行中の夜はそれは良く眠っている。そんなのりが眠れていないようであった。天気も悪い。カメラも壊れる(2日目に古いほうのカメラのフィルムが巻き取れなくなってしまった)。あれだけ楽しみにしていた海水浴も出来ない(海水浴は私達より一泊多い3泊のツアーというのが私達の出発の少し前に出来て、その人達のみ出来るということをこちらに来てからガイドさんに聞いた。)。自分があれだけ天気の予測をして買ったフィルムもこの雨ではあまり役立たない。前日の夜にガイドさんと今日の予定を話していたら山登りのコースが申し込みと違った。調べると言っていたが、申し込んだ方で行けないのではないだろうか。飴やの金さんに会えなかった。などなどたくさんの要因が重なって、いじけるのり。そんなことを考えて寝てはいられないようだった。
「旅行には色々な事が起こります。それだからおもしろいんじゃ〜ありませんか。」
とふとまきが言うがいじけるのりまき元気が出ない。
成田を発つ時に「何か楽しいことがありそうだな〜。」と言ってたではなかったのか。

しかし、朝集合して希望のコースに行ける事がわかり、さらにはガイドさんが「僕は一緒に行けませんので」と日本語での案内を作ってくれてたりしていく中でだんだんと元気になるのであった。

さあ、雨の中の山登り。のりまきはこんな中でも写真をばしばし撮る気でいる。のりまきが写真を撮る時に必ず自分の荷物やレンズのふたを
「ちょっといいですか〜。」とふとまきに持たせることはわかっていた。その都度荷物を持たされるよりはずっと持っていたほうが楽だとのりまきの飲料水、食料、着替え、タオル他すべてふとまきがリュックにしょった。あ〜、なんて健気な妻でしょう(笑)。しかし、しかし、更にシャッターを押す時に
「カメラが濡れない様に傘をさしてくれませんか?」
と言うではないか。
「え〜?」
と言うと
「ふとまきはこのカメラが壊れてもいいのですか。」
と開き直るのり。夫の荷物を全部背負い、更に夫の正気の沙汰とは思えぬカメラ撮りに傘をさせと言っている。傘をさしてもその下にのりまきのフードから水滴がしたたり落ちるので傘をさす意味はあまりないのに・・・・・。おかげで自分のペースでは山が登れない。自分のペースで登れないということは疲れるということである。
「ふとまき、もう疲れたんですか?ぼくはさすがに小さい頃から山登りをしたせいか、まだまだ行けます。」
と平然と言っている。自分のペースで行けば私だってまだまだ大丈夫だ〜い。

結局カメラはどうなってもいいと思ったのか、ずぶ濡れになりながら取り捲るのり。普通のカメラがいよいよシャッターが降りなくなったら
「デジカメ貸してください。」
とデジカメでとり始める。使わないカメラを持つものもちろんふとまきである。ここ、という場所があれば人が何人通ろうが、混んでいようが空くまでまってカメラに収める。その間家来のように傘を差し伸べるふとまき。
そんな山登りも終わり、ようやくバスに乗り込んだ。パンツまでびっしょりである。もちろん、靴下を脱ぐと足がふやけていた。
ふとまきはこの雨で靴の中までぐちゃぐちゃになることを考えて海水浴用に持参したビーチサンダルを持っていってバスに置いておいた。安物ののりまきのゴムのビーサンとお土産にもらった柔らか生地のふとまきのビーサン。足のサイズは違わないのりまき。二つを見るなり「では、僕はこちらにします」とソフトな肌触りのふとまきのをはいてしまう。
のりまきが気になることは写真がちゃんと撮れているか、それだけである。

その後、昼食を食べ、着替えをするとサーカスである。
サーカスを見終わるとそのままビデオと葉書の売り場へ向かう。またまた購入。サーカスのビデオなり。

その後の温泉の気持ち良いこと。
のりまきはガイドさんと温泉の中で会っていろいろと話に花がさいたようであった。

その後、一応最後の夜ということでお土産を見る。のりまきは今回はメダルは買わなかったが、お気に入りのネクタイと帽子を購入した。さすがにあのネクタイを購入するのはめずらしいようでお店の人もクスクス笑っていた。

長い一日も終わりホテルに帰ると雨でぬれたカメラが乾いており、元にもどっていた。使えるようでのりまき大喜び。これで使えなくなってたら使い捨てカメラを10本以上買い占めてだろうから、ふとまきも胸をなでおろした。

7月20日(土)4日目
さあ、今朝はいい天気。風は強いがそのお陰で雲もどんどん動いて最高の天気である。のりまきは早朝よりホテルの中から写真を取り捲る。何回フィルムを巻く音を聞いただろう。撮影禁止区域をばしばし撮っているのである。小心者のふとまき、気が気でない。のりまきは本当はもっと小心者なのであるが、そののりまきが撮っているのである。
「大丈夫なの?見つかったらカメラとフィルム全部没収なんでしょう。せっかく撮ったのに没収はいやだよ。」とか言うが
「大丈夫大丈夫。」
と言っている。そのくせ、朝温井里に行くバスの出発が遅れて更に北の軍隊(見張りの人)の人がホテルに入って行く姿などをみると落ち着かなくなっている。
「写真見つかったんじゃないの?」と言うと
「大丈夫だよ。」と強がって言っていたが
「ちょっとね〜、心配ではあるね。」と言い出した。
結局私達は大丈夫だったようである。あんなに天気が良いのでかなりの人が写してしまっていただろう。数名は注意を受けていたようである。
しかし、この時の様子もあとになって
「じつははらはらもんよ〜。」
などと言うのであるから、のりまきもへそ曲がりである。

さあ、そんなにいい天気のなか海金剛と三日浦である。写真を撮らないはずがない。ばしばし取り捲るのりまき。
いつものことであるが、列の前半にいてもバスにつくと最後の方である。
人がいようがおかまいなし。更に
「ここは前回の旅行でも来ているので、同じ写真を何枚も撮らなくたっていいんじゃない。」
というふとまきに
「前回とは季節が違います。」
と言うのり。勝手にしろ〜だ。

観光も終え、出国も無事済むと朝の写真ももう咎められる事がないので、安心するのり。
帰りの船でももちろんあちこち動き廻っていた。なんでも韓国の教師をしている夫婦に
「一緒に写真撮らせてもらえないかとかって言われちゃってさ〜、一緒に写って来ちゃったよ。」
とか言って悦にいっている。

束草に到着。その日泊まるところへ着く。ご飯も食べて長い一日の終わりである。

7月21日(日)5日目最終日
今日はもう日本へ帰る日。クニさんとお別れし、バスに乗って空港へ。相変わらず、
「僕がわかりますから大丈夫です。」
と言いつつ慌てるのりまきの誘導で飛行場へ。もちろん帰りものりまきが窓際へ座って戻ってきたのである。