巻11 
−海老名の性格、その公務員試験ー
 「海老名、大学4年 そのA」


(ふとまき注:どこかで見たと思いませんか?)

Y大学教育学学士(心理学)
今 柊ニ
黒崎 犀彦
共著(原本執筆は、今 柊ニ)1994.5.3


しかし、最近発刊ペースがすさまじい。月に2回ぐらい当研究が出されている計算だ。そのため、読者の反応もおいつかない状況だ。
「9号の表紙の海老名星人は秀逸でした」T氏ぐらいの反応があるくらいだが、そもそも各5部ずつしか発行されていないため、反応を過剰に期待しても仕方がないのかも。
しかし、この研究がまるで「核爆弾」のようにエグイ内容を持っていることは確かだろうな。
今 柊ニ


1章 はじめに
黒:ああ、腹が痛い。
今:腹の方は大丈夫ですか?
黒:今のところは大丈夫です。ところで今学士は?
今:ましです。やはりこの研究も進行するに連れて呪いがひどくなってきますね。相変わらず雨だし。
黒:死なないうちに始めましょう。

2章 海老名就職活動勃発す!!
今:前回は、私の腹痛騒動でかなり黒崎学士に迷惑をかけてしまいましたが、今回はなんとか頑張りたいと思います。さて、今回はいよいよ教育実習も終り、大学4年の方々はおそまきながら職を探しに打って出始めたのですね。
黒:そうです。何しろ我々が教育実習をやっている間に他の学生(他学部)たちはすでに活動をはじめておりましたので、我々のあわてぶりと言ったら、そりゃあもうあなた大変なものでした。はっきりいって海老名にかまっている暇はなかったのですが、注目にあたいする大それたことをしでかしてくれたのです。
今:というと?
黒:みんながせっせと企業をまわったり、公務員試験の勉強をしているにもかかわらず、ゼミ室で
「信長の野望」(注1)
をせっせとやっていたのです。
今:サルにせんずりを教えると死ぬまでやるといいますが、海老名にコンピューターゲームというものも同じだったようですね。
黒:さすがに私も人事ながら、海老名の事が心配になり「おまえ会社まわったりしないのか?」と聞いたところ「おれは会社には向いていないと思うんだ」と言うので、「じゃあ、公務員試験の勉強はしているのか?」と聞くと、




と人をなめきったようなことを言うので、私も腹が立ってそれ以上何も聞きませんでした。
今:ところで、我々が就職活動を始めた89年という年はまさしくバブルの絶好調と呼べる時期で、たとえ「4年寝たきり大学生」でも簡単にそこそこの企業に就職出来てしまうという非常にラッキーな年でした。
黒:そうは言っても気合の入った寝たきり大学生の私を受け入れてくれるところはト○○○○しかなかったのです。
今:私は覚えています。もはや4年になると大学に行かなくなっていたため、黒崎学士とは学外でしか会いませんでしたが、あれは夏のことでした。黒崎学士が妙なシャツを着ているので、「それは何だ?」とたずねたところ、「ああ、これはト○○○○が送ってきたシャツだ」と自慢気に言いました。純粋に喜んでいたので、私は何もいいませんでしたが、あなたはそれから起こる事の重大さにまったく気がついていませんでした。喜んでいる場合じゃなかったでしょう!!


黒:就職してからというもの、寺の小僧のような生活が続きましたからねぇ…。
今:まあ、あなたもカンバックして良かったんですけどね。
黒:カンバックなどという生易しいものではありません。復員と呼んで下さい!!
今:まあ、このあたりの黒崎学士の就職に関する話はこのぐらいにしていずれ何が重大だったかは記す事にします。寺の小僧ではなく、海老名という小僧の話に戻りましょう。
黒:では続けますが、就職活動のまっさかりという5月か6月という時期だったと思うんですけど、一人でゼミ室にいた私のところへN先生がやって来ました。
「黒崎、ちょっといいかな?」
というので、私は何の事だかわかりませんでしたが
「いいですよ」と言い、N先生が非常に重要なネタをふってきたのです。
「海老名のことなんだが……あいつはちゃんと勉強をしているのだろうか……

………ああ、腹が痛い……

(また呪いが生じてしまいました。今度は黒崎学士です。一体大丈夫なのでしょうか?当研究の運命はいかに?今記す)
〜20分経過〜


黒:ああ…
今:やめますか。
黒:(起き上がって)いや、続けましょう。
今:なんか全くこの前と逆のパターンだなぁ。
黒:本当(マジ)だからこわいですよ。ええと、海老名の話を続けましょう。そのようにN先生にたずねられた私は、「まあ、少しはやっているようですけどね」と言いましたところ、


「そうか、わかった。どうもありがとう。」と言って出ていきました。それからがお楽しみです。その後のゼミの授業の際、N先生から就職活動の状況を聞かれました。私は「企業をまわっているところですが、教員試験も受けるつもりで、現在その勉強もはじめております。」と報告しましたが、一方海老名は

とそれだけしか言いません。N先生が聞きたいのはそのためにどういう勉強をしているかということだったのですが、それきり答えない海老名に対して
「専門(福祉)の勉強をしているか?」
と聞かれ
「はあ。まあぼちぼち」
と答えました。
今:まさか、毎日「信長の野望」で
斉藤道三と戦っているなんてさすがの海老名も言えなかったでしょうね。
黒:話を続けますが
「一般教養の方はお前、英語があるのだか、何か勉強しているのか?」
と聞く先生に対し、
「はぁ、これからやるつもりなんですけど」
と答える海老名。私の時と同様、人をなめきった海老名の発言に、ついに大人しい真面目なN先生も立ち上がったのです。


と言いました。それでも海老名は例のきつい顔をしたまま

と言ったものの、ゼミが終わったあと、

やはり「信長の野望」をやっていたのです。

3章 就職活動の天王山、夏休み突入!!
今:というわけで、当時は就職活動の天王山と言われていた7月、8月がやってきました。黒崎学士は教員になろうという希望があったようですが、それは一体どうなったのですか?
黒:落ちました。
今:わかりました。まあ、でもあなたには教師なんか向いているわけがありませんから良かったと言えるでしょう。しかし、だからと言って……
黒:KとAの面接には寝坊してしまいましたからねぇ。
今:で、シャツをくれた会社に大きく心が動いたわけですか。
黒:Tという会社も美人が多いと有名だったので本社までは行ったのですが、それはうそだとわかりそれきりTへは行きませんでした。(注2)
今:まあ、私も人の事は言えませんけど、あなたは就職先の選定基準に根本的な何らかの欠陥がありましたね。で、最終的に「ものをくれた会社はいい会社」とあなたの思考パターンが働いて更に持ち前の無精さがムクムクと起き上がり、T会社に決めてしまったのでしたね。
黒:忘れもしません。4月1日の入社の日、社長が「ハードワーカー来たれ!」とまぬけなことを叫んだのです。私はそのうちやめようと早くも決めたのでした。
今:早くも決めたんじゃなくて、入社前に気がつくべきだったんだけどな。まあ、私もアドバイズすれば良かったのですが、当時は私もオタクにのめりこみ(注3)、自分の事に忙しかったのでそうも行きませんでした。……あ、こんなことを書いている場合ではない!もう1ページしかありません。話を戻して、海老名は7月になっていよいよ公務員の一次試験があったはずですが、それはどうなったのですか。
黒:そのことを詳しく話そうと思ったのに、あなたが私の就職について触れるから、もうページがなくなったじゃありませんか!!
今:まあまあ、一次は通ったんでしたっけ?
黒:かたよった知識でクリアしたようです。
今:あっそうか!!宇宙人の仲間に解答を電波で送ってもらったのかなぁ!!
黒:いや違うでしょう。地底人が地下から答えを穴を掘って持って来たのでしょう。

今:おれは宇宙人だと思うけど。では詳しい一次試験通過後の話は次回ということにしましょう。
黒:うまくすすまんなぁ。
今:おもしろいからいいんじゃないですか?


【注解】

(注1)……当時はやっていた戦国時代のシュミレーションゲーム(パソコン)誇大妄想の海老名は本当に日本を統一したような気分になったらしい。

(注2)……後の調査では「本当に美人が多い」との説もあるが、黒崎学士はTで営業の人に「美人はいない」と断言されたらしい。

(注3)……妄想小説に取り組んでいてそれどころではなかった。


特別企画!
「月刊ゴミに見る海老名の就職シュミレーション」

※1989年に月刊で発行されていた「ゴミ」という雑誌からの抜粋。今学士のおたく時代を反映してか、マンガもエグイ内容となっている。しかし、当時はよもや海老名が公務員試験に受かろうとは予想も出来なかった。@↓のような展開になると思ったのだが…
何故受かったのかは次号をよく参照のこと。








※マンガでは89年5月の時点でシュミレートされた海老名の就職活動が描かれている。ちなみに右下に変化を続ける「トロ」の顔があって今学士の才能を感じさせる。


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