のりまき観察日記内金剛編(2004年6月19日〜23日)
7、平壌に戻った日 そのいち

元山港の金日成銅像。平壌の銅像に比べ輝きがない


6月22日(火)祝日
旅行も4日目。のりふとの最大の目的、内金剛にも無事に行け、肉体疲労は残っても気分は晴れやかであった。
そして今日は元山の観光をして平壌に戻る日。
当初の予定表では3日目のところに予定されていた共同農場の見学も結局、私達が無理を言ったこともあるのか時間がなくて3日目には行けず、今日の午前中に行く事になった。他は旅行社の方で考えていた海水浴場とキャンプ場、私たちの希望であった元山港、元山駅、が予定された。また、これも私たちの希望で朝食前にはホテル付近の散歩にも行く事になっていた。そして夜には平壌でサーカス、の予定だった。
そして、今日は北朝鮮の旧暦の端午の節句。日本で言う子どもの日である。なんと私たちは4泊5日の旅行中に2日も祝日にあたったわけである。

内金剛に無事に行ったのりふとは満足な気持ちで寝ていた。明け方ころか、花火か爆竹の音?スピーカーから流れる異様な大きさの音楽で目を覚ます。え?何なの?
広場のようなところには人が集まってくるような雰囲気。すっかり目がさめてしまった。
わからないまま、少々部屋でうだうだと時間をつぶす。

朝食前の散歩である。7時に集合。早速桟橋の方に歩く。この時間になるともうかなりの現地の人が出てきており、めいめいに魚を獲ったり海草を採ったりしている。平日なのになんでこんなに子どもが多いの?と思っていたが祝日なんだと教えてくれる。
「え?なによ。ちょっと待ってよ。また祝日?初日も祝日だったはずよ。祝日だらけだね」
とのりまき。私たち4人がそれぞれ持っている資料には北朝鮮の祝日、というようなことが書いてあるものもあったが、だれの資料にもこれら二つの祝日は見当たらなかったと記憶する。祝日ってころころ変わるんだ・・・。
まあ、理由はともあれ祝日で学校はお休みなんだそうで、子どもたちもぞろぞろ、という感じで海の方に出てくる。桟橋の方にももちろん、あとは海岸から海に入り何やら採っている。

場所のせいもあるのだろうが、日本で言う海水浴とは何か違う。皆が食べ物を採りに海に入っているというような感じである。そして、多くの人が水着に着替えるでもなくそのままの格好かもしくは子どもなどはパンツ一丁となり入っている。
さあ、何を採っているのか興味深々ののりまき。観察に余念がない。
海草は天草だった。いつものように
「あ〜、天草ね〜」
とのりまき。
「天草ってなんだっけ?」
とかいうことになったんだと思うが
「ところてんとか寒天とかにするんですよ。」
でたでた。
「でもどうやって寒天になるんだっけ?」
などと確かふとまきだか誰かが言った様な・・・。待ってましたとばかりに
「あの天草をね〜、一度煮るんですよ。それでその湯を濾して濾した湯を乾燥させると棒寒天になるんです。」
のりまき、得意げ。
するともう、絶妙なタイミングでHさんは
「のりまきさん!のりまきさんは海草にも詳しいんですね〜」
と言う。もうみんなたいして驚かない。ただ笑うのみである。

海草は天草とわかった。魚は・・・・・。
釣竿で釣っている人もいれば、のりまきの旅行記に写真があるが、小学校の運動会でよくある万国旗のように一定間隔に餌をぶらさげた紐をずーっと遠くまで張り、それを垂らして魚がかかるのを待っている人もいた。獲物を入れる袋?があればそれを覗き込みながら進むのりまき。
「何が釣れるんでしょうね〜。」
というのりまきのつぶやきにHさんが現地の人に聞いてくれる。すると、朝鮮語では名前がわかるがそれが日本で何にあたるのかがわからない。
「う〜んと、日本語ではなんというかわかりませんね。細長い魚です。口もとがっているようです。日本でもあるようです。」
と教えてくれる。細長い?さんまかなぁ〜?などと言い合う。結局はさよりであるが、なかなか細長い魚→さよりだとは思わなかった。
「さんまじゃあ、季節が違うし、口もどがってないよね〜」
とふとまきが言う。そう言われると絶対正解をつきとめたくなるのりまき。すぐに答えが出ないのりまき、この時には
「僕は魚はあんまり詳しくないんでね〜」
と言い訳じみたことを言う。
結局は帰りにつかまえてある魚を見てさよりではないかということとなる。
「さより、です。日本語ではさより、と言います。多分、さより、でしょう。まあ、確信はないのでもし間違っていたら困るし、日本に帰ったら調べて間違っていたら手紙書きますよ。」
と、『さより』とメモに書くHさんに向かってのりまきが言う。
「いや〜、間違ってないでしょう。多分、さよりであっているでしょう。日本にもあるんでしょ?」
「はい」
「それなら合っていますよ。のりまきさん、魚にも詳しいんですね。」
・・・・・。

天気もよく、きらきらと光る海と街を桟橋のほうから眺め、ホテルに戻った。

朝食を済ませ、荷物も積んでいよいよ出発。

朝食時のナフキン。毎食違った折方で私たちを向かえてくれた。食事だけでない真心のおもてなし。

昼食はホテルに戻るということだが、もうチェックアウトとした。
まずは元山港へ。金日成が本を片手に持った銅像を仰ぎ、万景峰号を見たり写真を撮ったりする。ここの銅像がかなり地味(汚れて?)なので、というのか、平壌にある銅像があまりにきれいだったので、あの平壌の銅像は磨いているんだろうと確信する(いつ?どうやって???)。Hさんに聞いてみるとあたりまえのように
「磨いていますよ」と言う事だったがその方法は謎のままである。

次は共同農場へ。検問でなにやら時間がかかるが無事に到着する。そもそも農場と言うので広い土地と動物が想像されたが、柿をメインとした農場だった。ちょっと離れた場所にバスを停め、私達が休憩をしている間に、L課長は受付へ。何やら時間がかかっている。受付から出てきたと思ったが今度はもっと置くの人家まで言っている。どうしたんだろう・・・。
L課長が戻ってくると
「すいません。時間かかっちゃって。今日は祝日で農場は休みでした」
と言うではないか。そうか、祝日は休みなのか・・・。でも、せっかく来たということもあるのか案内の女の人が一緒に来ていて説明をしてくれる。すらすらとこの地に柿の農場を作ることになったいきさつから何から話してくれる。通訳はHさん。金日成さまがお見えになり、うんぬんかんぬん。
「は〜、」とか「へぇ〜」
とか言いながら聞くがちっとも頭に入らないふとまき。
そうして柿が沢山植えてある小高い丘のようなところを一回りする。その間もいろいろと柿についての説明をしてくれる。よどみのない説明。
ふとまきはふっと、柿がいかに良い産物かと聞いていると、伯母の家に柿があり、柿は一年おきにしか実がならないという話をしていたのを思い出す。一年おきじゃあ良い産物とはいえないじゃん、と思い
「柿は2年に一度しか実がならないんですよね」
と言うと、柿をけなされたと思ったのか農場の人の表情が一瞬変わった。このことはのりまきも知らなかったのか、
「ふとまき、なんで知っているんですか?」
といって来る。
「いや〜、おばさんの家に柿があってね。2年に一度しか実がならないから・・・。」
と言うと、農場の人はほっとしたように
「そうです」
と言い、のりまきは
「そうか〜、おばさんの家にあったんだ〜。だから知っているのか〜。なるほどね〜」
と妙に納得している。
そのやりとりを見ていたHさんも笑いながら
「柿は奥さんが詳しいんですね〜」
と言った。柿の丘を見終わると売店を横目に先に進む。するとのりまきが売店のほうを指して
「あ!あそこにも柿が!!!」
と叫ぶではないか。一瞬、へ?と思う。柿の木ないじゃん・・・。木ではなかったのだ。

売店の文字看板が柿だった。
「わ〜、かわいい。」
「へぇ〜」「お〜」
口々に言う。
そこでHさん
「のりまきさんは目も早いんですね」
と言って大笑いしている。行きには柿ノ木や農場の説明の看板なかりが目についてこの柿ちゃん看板には誰も気がつかなかった。

その後は養殖している池のようなところを通り、一軒の農家訪問をする。北朝鮮旅行ではお決まりらしいが、家具も揃い、古いがパソコンまで置いてある家にお邪魔する。採れた杏と自家製のどんぐりの焼酎を頂きお子さんの唄を聞いておいとまする。
ふとまきも持っていった駄菓子を子どもさんにあげる。

帰るとき、子どもがふかしたジャガイモを食べていた。のりまき思わず
「わ〜、美味しそう。食べてみたかったな〜」
と。それを聞いたHさんが早速農家に戻りじゃがいもをもらってきてくれた。
まあ、北朝鮮のじゃがいもの味を知りたかったのはわかるが・・・・。ちょっと恥ずかしかった。でも皆それぞれに試食し、運転手さんなども美味しそうに食べていたので良かった良かった。

話は戻り、共同農場見学の後海水浴場、キャンプ場へと向かう。
天気も良く、祝日で賑わっているのだが、何せ昨日の疲労と、朝食に加えじゃがいもなどでお腹が膨らんでいるので、眠い眠い。なんとか起きようと頑張っているのだがついついうとうととしてしまった。結局、にぎやかな海水浴の写真は一枚も撮っていなかった。
キャンプ場でもお決まりの?説明を聞き、朝食を食べホテルに戻った。
キャンプ場と言うと、ふとまきの感覚ではテントをはって、バーベキューでもして、という野営場を想像していたが、そうではなく、日本で言えば、○○青少年自然の家というように中学生や高校生が研修旅行などで泊まるような施設であった。

さて、食べてばかりとおもわれる私たちはまたもやボリュームのある美味しい昼食を食べ、平壌に向かいホテルを後にした。

バスが出発し、元山駅を通過してもらう。これは私達がお願いしていた場所で、出来れば降りて写真を撮りたかったが、時間がないという理由で通過のみとなった。
気になっていた元山駅の撮影も終わると、またまた睡魔に襲われて一行は眠りについた。

追記:サーカスについて
今まで、日本からの北朝鮮旅行でサーカスは、ほとんどのツアーに組み込まれているようだった。ツアーによってはサーカスが組み込まれられないものもあったようだが・・・。しかし、今回からサーカスはオプションになると言う。
ガイドのHさんに夜はどうしますか?と聞かれる。サーカスを見るなら今日しかないと・・・。
訪朝10回を越えるETさんは「もう見なくていいよ〜」。
Sさんは数回訪朝されているが見たことがないと言う。でもまあ、どっちでもいいや。他の選択肢もあればそっちがいいというような感じ。
のりまきも今まで2回見たのでどっちでもいい。
ふとまきも平壌では見たことがないが、現代グループでの旅行では3回とも見ているのでまあどっちでもいいような、見れるなら見ようかな〜という感じ。

Hさんは
「奥さんは初めてなので見るといいと思いますよ。」と。それなら見てみるか、となる。
いろいろいろいろ案がでて・・・。サーカスと射撃場とボーリング、そしてビアホールとの意見が出、確か元山にいる間は
ふとまきをサーカスに下ろしたあとに男性3人は射撃に行く、となったような・・・。その後いつの間にかボーリングに皆で行こうということになる。

しかし、結局は農場、他あちこちで時間がかかり、平壌に向かう途中の休憩の時点でサーカス開始時間に間に合いそうもなくなってしまい、今回サーカスは止めて、皆でビヤホールに行ったあとボーリングをしようということになった。
結果は次編で。(2004.8.29記)


ブラウザでお戻りください  ホームへ