のりまき観察日記内金剛編(2004年6月19日〜23日)
4、平壌から元山へ


6月20日(日)
早朝より天気が気になるのり。部屋のカーテンを開け平壌の町を見ている。あんなに疲れているのに眠れぬのり。

すると「こんな時に思い出す話があるのよ。」とプロ野球の山田久志と鈴木啓示の話をしだす。二人の対決の前に眠れなかった二人、鈴木啓示は眠れない中、いらいらしながら夜を明かしたという。山田久志は眠れないなら眠ろうとせずに気分を変えて風呂にでも、と風呂に入ってりラックスしたらしい。
「結果は、わかるでしょ?」
わかるも何も何回この話を聞かされたかわからない。「僕も山田久志を見習って寝よう寝ようと思わないでお風呂にでも入りま〜す。」
その続き、結果は、気分を変えて風呂に入った山田久志の勝利だったそうだ。
そう言いながら湯をためている。このハイな調子、旅行が終わるまでもつのだろうか・・・。
うとうとするふとまき。のりまきに
「ふとまき、見てみて〜。とってもきれいですよ〜」と促されてホテルから景色を見る。静かな街である。

7時半にガイドHさんよりモーニングコール。その時には既に二人とも用意万端。時間があったのでホテルの最上階にふとまきは景色を見に行った。列車が走るのを見て、デジカメに納める。部屋に戻りのりまきに言うと
「それは貴重な場面だったかもしれません。」
と平然と答える。貴重な場面だと言う割には「へぇ〜。それはすごい!」などとは言わないのである。
ホテルにて朝食を済ます。
出発の時間より少し早めに降りる。ホテル売店が開いておりホテルから日本に送ろうと絵葉書購入。のりまきは早速本を探す。持っていない金剛山の写真集があったらしく、
「迷っているけれどこれ1冊しかないから売れてしまっては困る。」
とその場で購入。他にもお土産にバッチを購入し、金剛山のパンフレットも持っていないものがあって購入した(朝鮮語)。
結局その写真集は今まで自分が持っているものより写真がいいと気に入った様子。
「買ってよかったです。」
と悦にいる。

午前中はお決まりらしい平壌市内観光へ
生家、地下鉄、広場、、銅像、千里の馬、チュチェ思想塔、地下商店へ行く。
観光が始まるとそれぞれ皆さん主張が始まる。生家などはそれこそどなたも毎回行っているとのことで、他の方々は簡単に見回る程度だった。ガイドのHさんは
「奥さん、初めてですよね。どうぞこちらに、」
と説明してくれる。本当はその生家のある敷地は広く、生家以外にも見るところはあったようだったが「もう見たのでこのくらいでいいです」と言う感じで、その後金日成が幼少の頃使用していたという井戸の水を汲み、売店で休憩をして次に向かった。
市内観光ではむしろのりまきは目立たなかった。規制の多いと言われる北朝鮮の旅行でその規制というものを忠実に守っているタイプがのりまきであった。

今回のりまき、平壌は3回目であるが、1回目2回目共に参加者は二人であり、初回は初対面の人とでそれこそお互いの会話などもなかったようで、ただひたすらしてはいけないことはしないで過ごしたに違いない。2回目はのりまきの友人と行くが、友人が初回であり、その時も何をどこまで聞いたり言っていいのかわからずに、変な事を言ってガイドさんの気を悪くしては大変などと多分考えてあたりさわりなく過ごしたと思われる。
そして、その間私たち二人では韓国の現代グループの行う金剛山観光に3回行くが、韓国を介しての北朝鮮の旅行だった為にかえって規制が厳しかったように思われる。初回はカメラなども確実に点検されたし、書物なども確認され、雑誌や新聞などは船の中で預けられたりしていた。北朝鮮に持ち込んではいけないものを持ち込んでしまった場合、個人旅行であれば個人の責任だが、現代グループのツアーとなれば現代の責任となる。その辺からかチェックは厳重だった。また、現代の金剛山観光で訪れる地区は北朝鮮の兵隊さんの監視も厳しいように思った。今回旅行して感じたのだが、兵隊さんも自国のガイドさんに連れられて観光していれば多少目に余る行為があっても、ガイドがついているのでまあ多めに見よう。というふうになるようだが、現代のツアーの場合はその付き添っているガイドが現代の社員(韓国の人)となるので、まあ多めにとは行かず、徹底して注意を受けたりしていた。
と、言ってもそんな現代グループの旅行でも1回目より2回目、2回目より3回目と、回数が重なるにつれカメラもいちいちチェックしなくなったし、説明も簡略化されてきてはいた。いちいちやってられないということと、まあ、そんなに厳重でなくても特に問題はないと思ったのか・・・・・。その辺は想像止まりである。
そんな厳重なチェックがあたりまえの旅行をしていたこともあり、のりまきは写真を撮る時にはいちいち
「ここ、撮ってもいいですか?」
と確認していた。同行のお二人はビデオカメラで特に断りを入れるわけもなくカメラをまわしていて、ダメな場合は言われるだろう、くらいな気構えになんだか拍子抜けした。
ダメな場合は注意を受ける。注意を受ければ止めればいい。
それでいいのだとのりまきと話すが、癖になってしまったのか、それでも
「ここ、撮っていいですか〜?」
「すいませ〜ん。ここ撮影していいですか〜」
と聞くのりまき。ガイドさんとしては聞かれれば責任はガイドさんにいってしまう。何度かガイドさんが苦笑する場面があった。聞かないで撮ってしまった方が良いようである。

地下鉄では駅に絵が描かれているが、そこに花の絵があると、のりまき得意分野である。
「あ、これは○○という花です。」
などと言い始める。でもそんな程度で、とりたててのりまきの奇天烈さが表に出るわけではなく、地下鉄の他の駅に行った人の話や、船に乗って焼肉を食べた話などなどETさんとSさんの話に耳を傾けることになる。
今回ETさんは情報として平壌にビアホールが出来ていたということを知っており、そこでビールを飲みたいと事あるごとにガイドさんに言っていた。市内観光中にも
「ビアホールでビールが飲みたい」
という話題になるが
「昼間っからいくらなんでも開いていないんじゃないか」
と。そりゃそうか〜と言っていたが・・・・・。たまたまジョッキにビールが注いである看板がある。これがビアホールだろう。人が並んでいるではないか。かなりの人数が並んでいた。さすがに女性の姿は見かけなかった。
昼間っから・・・・・・・。並んでいた。前言撤回。私も行きたいのはやまやまだったが、結局ビアホールでビールを飲むことは今回は出来なかった。拉致問題が表に出てから日本人も色々な思いがあり、マスコミでも連日取り上げられている。となれば、北朝鮮でも日本人に対する様々な思いもあるのだろう。酔っ払った場所でそうでなくても現地の人との触れ合いを極端に嫌う観光旅行なのに、酔った同士なにがどうなるのかはガイドさんとしても怖いことだったのではないのだろうか。なんて、これはふとまきの想像であり、ただたんに時間がなかったから行けなかったのかもしれない。結局最後までうやむやに返事をされたままビアホールに行けなかった。

街中で目にした風景としてはバーべキュー?野外焼肉?をしようと荷物を持って歩いている人も姿も多かった。日曜日だからだと言うが、公園などで行うようだった。しかし、昼前頃に突然雨が降り出し、皆それぞれにちらばっていった。

観光についてはのりまきからは、ガイドは常に二人。そして
「ガイド同士も監視しあっているという噂もあります。」
と聞いていたが、今回はL課長は車の中で待っていたり、ベンチに座っていたりしてずっと私たちについてくれたのはHさん1人、という感じだったので、ふとまきはガイド同士の監視???というような気がした。ベテランのETさんがいたからなのか、Hさんの信頼が熱かったのか、そもそも旅行の形態が変わってきたのか、理由はわからないが、二人のガイドにつきっきりで案内されたというようなことはなかった。

観光地で写真を撮り、冷麺を食べ、切手屋へ。記念切手がたくさん並んでいる。ふとまきは絵葉書を出すのに記念切手を貼って出そうと考え、Hさんに値段を聞く。しかし、日本とは感覚が違い、記念切手では値段が高くなってしまうようであったので、普通の切手にすることにした。一応
「日本では記念切手と言っても柄は違うが値段は同じだとHさんに言うが、ピンと来ないようだった」
あわただしく観光を終え、いよいよバスは元山へ向けて出発である。

バスは初日同様のりまきとは前後のシートに座る。たまに後ろを振り返るがさすがののりまきも睡魔に勝てないようで寝たりしている。
そりゃあそうだよな。いくらなんでもテンションハイがそう続くわけはない。
景色と言えば、緑深い田畑。のどかな光景だった。現代グループの金剛山観光より立っている兵隊さんが少なかった、がそれは地区によるのではないかとのりまきに言われる。
しかし、のりまきが以前九月山に行った時には兵隊さんがやたら立っていたと言っていたような気がするが・・・。
峠の前後に検問あり。またいくつものトンネルを通過するがその前後には銃を担いだ兵隊さんが必ずといっていいほど立っていて、しかもそこはトンネルを守っているのではなく、何かがあってそこを守っているようだった。道中、田植えの場面に出会ったり、滝に行く道中に落石があり落石のために車が通れないので、皆で車から降りてどかしたり、また、その滝に向かう道がでこぼこだったりして、十分に景色を堪能し北朝鮮の田舎町という雰囲気を味わった。更に雨も降っており、舗装のない道が更にぬかるんでいてちょっとしたサバイバル気分だった。

どよめきの滝に到着。門がしまっている。日が長いので明るいが、開門時間は過ぎてしまったようだった。しかし、管理人に話をし行かせて貰う。

左:どよめきの滝の看板 右:どよめきの滝のところにあったフルーツバスケットオブジェ

19時15分ホテル着。L課長
「皆さんお疲れ様でした。雨も降っていて大変でしたね。でも、明日の道は今日の道よりもっと大変ですから。雨がたくさん降れば最後までバスでは行けませんのでバスを途中で置いて歩く事になります。」
しめくくりの言葉がこれである。のりまきがっかり。

さあ、いよいよ明日は内金剛。夕食は4人で20時から頂く。料理は品数も多く美味しかった。豪華な食事、というより地元でとれた食材を丁寧に料理したという感じの料理だった。平壌ビール飲む。アルコール度数は低目か、あまり酔わない。
なんだか今となるとあまり覚えていないのだが、ガイドさんなしの食事だったこともあり、ガイドさんには聞きにくいことなど色々なことを話したように思う。道中の景色の話や、田植の話、ホテルの話、お二方の以前の訪朝のお話などなど。そして・・・・・。明日はいよいよ内金剛に行くという話。
「なんか、今回内金剛は僕の行きたいところとかに行かせてもらえるようで、いろいろとわがまま言ってすいません。」
などというようなことも言ったように思う
「いやいや、金剛山ってところに行くっていうことはわかってたけど、そこがどんなところかとかあんまり、というかほとんど知らないで来ちゃったからいいですよ。」というようなことをSさんに言われ安心するのりまき。
食事が終わるが、その日のお湯の出ると言う時刻22時にはまだ時間があった。それでは、ということでホテルの1階でコーヒーを飲む。
地元の人たちがつまみを囲んで飲んだりしている。こちらも多分そうだったのだろうが、地元の人もこちらを意識している。
途中L課長が私たちを見に来る。
「探しましたよ〜」と笑っていたが、食堂にも部屋にもおらずに焦ったのかもしれない。姿を見ると安心して出て行った。

さあ、お湯の出る時間となる。お開きとして部屋に戻る。
お湯は22時から1時間出ると言っていたので安心してのりまきが入る。旅行中ののりまきの常だが、身体を洗って軽く湯舟をすすいでお湯をはり、湯につかって終わりとする。ふとまきはその湯につかって流した後身体を洗う。しかし、1時間出るはずのお湯がのりまきが上がる直前から出なくなった。これは大変だ〜。しかし、時既に遅くふとまきが入った時には水しか出なかった。仕方がないので湯船の湯と最後にはポットの湯で上がり湯としてなんとかさっぱりとする。まあ、こればかりはのりまきを責めても仕方がないが、恨めしい気持ちになった。
そういえば、元山では停電にもあった。停電にはETさんに伺っていた通り、懐中電灯が役に立った。

さてさて、雨はまだ降っている。のりまき、相当疲れているが、23時ごろの天気予報だけは見て寝ると言う。
今までの気持ちが、明日の天気にかかっている。これで行けないは悲しすぎる。
天気予報も朝鮮半島の北西部分を除いて明日は雨とのこと。しかし、「前日の天気予報は全て雨だったので、それに比べると回復している」とのりまきは自らをなぐさめて床についたのであった。(2004.7.13記)


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