のりまき観察日記内金剛編(2004年6月19日〜23日)

3、初日〜飛行機、飛行機の日〜

自宅から駅に向かうハッスルのりまき


6月19日(土)
出発の日。
4時起床。ネットで天気予報チェック。天気は晴れ。朝焼け「朝焼けだから日本はこれから天気が悪くなる」との発言に自分たちが行く方向は大丈夫と言いたげなのりまき。
初ののり母の笑顔の見送りの中、いざ出陣。
北朝鮮の歌の鼻歌を歌っている。軽やかに歩くのりまき。駅についてのりまきの荷物を持つと軽い。ふとまきのほうがはるかに重い。
妻に重たい荷物を持たせても平気のへいさ。気楽なものである。
始発の電車、乗客に「ツアーメイトはあの人かな〜?」「それともこの人かな〜」ときょろきょろしている。そんな〜、こんな方面から同じわけがないだろう。と冷めた目でのりまきを見るふとまき。
北朝鮮でのチップの話、旅行は予定変更があたりまえの話など声高らかに話している。始発とは思えない元気なのりまき。
横浜近くなり急に静かになるのでどうしたかと思ったら急に催したと言い出す。
「大変です。と、と、トイレへ・・。」何しろ乗り継ぎの時間に余裕がないと眉間にしわを寄せ京急のホームまで急ぐのりまき。横浜でトイレに駆け込む。すっきりしたようで途端にうるさくなる。眠いと言っても眠る気配全くなし。飛行機も相変わらずさっさと窓側に座ってしまう。
「ふとまき〜見てください。富士山きれいですよ〜。ほら〜」と言ったり、

「はは〜ん。今はきっと紀伊半島の上だな」などとしきりに言っている。テンションハイ、である。
まずは羽田から関西国際空港へ。お次はトランジットである大連に到着。空港付近に新しい家々が立ち並ぶ。
「ふとまき見てよ。何なのこれ?やっぱり。中国がこわいよ。この勢いにこの規模。すごい力だよね〜。はぁ〜。こりゃあすげえや。僕も家に帰ったらもっと中国について勉強しないとな。」
こんな高い調子でこの旅行は乗り切れるのだろうか。

大連でツアーメイトのETさんと出会う。もう1人のSさんとも大連からの飛行機に着席した時にご一緒ということがわかる。
瀋陽で4名揃いそれぞれ自己紹介などもする。ETさんは13回目。Sさんは4回目。
「なによ〜。みなさん、すごいな〜。僕なんて3回目。皆さんに比べるとまだまだビギナーです。いや〜。ふとまきを除いて3回でも一番の初心者かぁ〜」
とのりまき。ふとまきは金剛山へは行ったが、平壌は初めてですと紹介する。
よろしくお願いします、ということになる。

瀋陽からの乗り換え手続きを済ませるとそこにはもう平壌に行く人のみとなる。
なにやらETさんが話しかけても曖昧な返事ばかりの日本人4人組。若い女性もいた。
どんな旅になるのだろう。のりまきは3回目だがこんなに旅行者らしき日本人が多いのは初めてだという。
ふとまきは初めて乗る高麗航空の飛行機。動くまでは水がしたたり落ち、冷気が白く見えるまでの冷房をきかせていたが、飛行機が動き出すと冷房が止まった。冷房を効かせて動かすと燃費が悪くなるからだろうか。そんな話をのりまきとする。動いた直後は暑いと思ったが、飛行機が飛んでしばらくすると外気が冷えているからか冷房なしでも大丈夫、というより今度は寒い位だった。飛行機のシートも前に押すとパタンと倒れる。のりまきには丁度良い大きさなようだが、ふとまきでも膝が前のシートにあたる。もっと大きな男性もたくさんいたがその人たちは窮屈そうであった。帰りに中国の人とわかった体の大きな男性は、大きな籠に入った花を飛行機に持ち込んでいた。先入観とは不思議なもので、他の旅行に行く飛行機と違い、平壌に向かう飛行機は、それぞれが“一体あの人たちは何をしに平壌に行くんだろう”と探り合っているようにも思えた。

平壌空港に到着

飛行機を降り、バスで入国手続き等を行なう建物に向かう。(その後曽我さんファミリーがインドネシアに向かう際に空港がテレビに写ったが、つい先日自分が行ったところで懐かしく感じた。)入国審査のカウンターでは北朝鮮の人が待つ場所のラインより出ていたが、そのラインのことを、バッチをつけた人に注意が行く。せっかちなのは私たちと同じなようだ。無事に手続きが終わると預けた荷物が出てくるまでのりまきはあたりをきょろきょろする。
「Hさんだ。」
のりまきの手の振る方を見るとガイドさんらしき人が手を振っている。
「ふとまき〜。あの人前回ついてくれた人です。今回も同じガイドさんかもしれません。」
次々に荷物が出て来て荷物の検査を受けたあと入国となった。

早速Hさんともう1人若めのガイドKさんが近づいてくる。ETさんはおなじみのようであった。ふとまきはまずトイレに行きたくてHさんにトイレの場所を聞く。大理石ばりのきれいなトイレ。後でETさんに聞くところによれば小泉首相訪問後?トイレがきれいになったとか。回数が多いとそんな変化も体験できるのがすごい。
手際よく荷物を持ってくれて用意された小型バスに乗り込む私たち。
ガイドはHさんとKさん。Kさんは前回Sさんたちのガイドをしてくれた人のようだった。そんなわけでのりまきの事を知るHさんとSさんの事を知るKさん。そして殆どのガイドさんを知るETさんに、はじめてのふとまき。そんなメンバーでバスが出発した。
KさんはSさんに「写真届きました」など話が弾んでいる。
16人くらい乗れるバスに6名なのでゆったりと座った。窓側に座ったのりまきの前にも空席があったので
「私も景色が見たい」
とのりまきと離れてそれぞれが窓側に座る。たまにはのりまきと離れて座るのもいいものである。
Hさんは「のりまきさんの奥様ですか。始めまして。今回、奥様だけが平壌には初めてですね。他の人は何回も来ています。だから奥さんの近くに座って私が説明します。」
と横に座り説明してくれる。街の人口やら簡単な歴史などもしてくれるのだが、なかなかこういった話は聞いていても頭に残らない。悲しいものである。

旅行の日程などを話しながら、あるところに行くとバスが止まった。
もう1人ガイドさんが乗ってくる。そのときにはよく意味がわからなかったが、その後から登場したのがL課長であった。
L課長を乗せ、本来ならばホテルへ、というところであったようだが、今日はまずは夕食とのこと。その理由として
「今日はダンスパーティがあるのですが、行きますか?」
とL課長が聞いてくる。その日は祝日であり、ダンスパーティがあるという。もちろん行きますということで、その後バスはまず食堂へと向かう。
のりまきは、というと
「へぇ〜大分変わったな〜。随分と人が多いような気がする」などとぶつぶつつぶやいているのである。

合計3人のガイドさんと、ETさん曰く「いつもの食堂」で夕食をとる。

のりまきも前回来た場所のようである。Kガイドさんは一緒に降りるが食事は一緒にせずにL課長、Hさん、運転手さんと私たち4名で食べる。
食べ終わって下に下りると同じ食堂内の別の場所で食事を済ませただろうKさんと合流。バスはKさんも一緒に乗り、途中でKさんを降ろした。
L課長が合流するまでKさんがついてくれただけだったようだった。
ETさん曰く、課長さんであるのでLさんがガイドをするのはここ最近ではめずらしいようだ。
しかし、その時はL課長が
「色々あったりして日本人の旅行者が減っています。日本のテレビや新聞も見ていますが、朝鮮の良くないことばかり目立っているように思います。」
というようなことを言っていたので、その旅行者減、のイメージアップを図るために課長自らがガイドをするのかな〜、などとふとまきは思っていた。まあ、後にわかることだが、L課長が今回ガイドをしてくれたのはイメージアップの為でもなく『内金剛に行くツアー』だったからなのだった。

夕食を済ませると、小雨の降る中ダンスパーティに向かう。ふとまきの想像していたダンスパーティとは違っていた。こんな大掛りなものとも、外で行なうものとも思っていなかった。祝日というだけでこんな風にするのだろうか。ものすごい労力とエネルギーである。ご苦労様、という感じがした。

パーティも中ごろ、観客も踊ってよいと言う。私も躊躇したが、旅行の時には人はだいたんになれるものである。
「せっかく来たんだから踊ってこようよ」
とのりまきを誘い、輪の中に入る。見ているとフォークダンスのようにパートナーと踊るのだが、フォークダンスのようにパートナーが変わらない。一度組んだ相手がずっとパートナーなのである。そうなると1人で参加しても既に組んでいる人を余らせてしまう。そんな風に見ているとなかなか入れなかった。するとHさんが声をかけてくれようやくのりまきとふとまきが入る。のりまきのダンスの写真を撮らなかったのが今思うと残念であるが、二重の輪になっていて内側の人が右方向に進み、外側の人が左方向に進む、その後同じ歩数逆に戻るのでまたもとのパートナーと組む、というような場面でものりまきは目の前にいる人と同じ方向に進みだす。一人で流れに逆らっているのである。のりまきのパートナーも笑いを必死にこらえている。ふとまきも人の事を言えたわけではないが、なんとか周囲の流れは乱さずに踊りを踊った。緊張もしていることもあり、結構疲れてしまったため数曲踊ったあとお礼を言って輪からでる。ツアーメイトを探すとSさんは撮影をしていた。ETさんは我々を探していたのだろうかきょろきょろするようか感じでダンスを見ていた。
私たちと同様になかなか入りにくかったのかもしれない。のりまきは疲れたと言っていたので2人で入ったほうが入りやすいとETさんを誘うと
「踊ってみようか。」
と言ってくださったのでのりまきに私たちのダンスしている写真を撮るよう頼んでETさんと輪に入る。ぐんぐん進んで何重にもなっている輪の真ん中の方に加わらせてもらったので、のりまきも写真を撮るためについてくる。当然真ん中の輪なので小さな輪の中に入って写真を撮ろうとするのりまき自身がくるくる廻っている
「ふとまき〜。こりゃあ写真撮るの大変ですよ〜。一緒になって動いちゃう。目がまわるよ〜」
などと言っていたかと思っていると1人になってしまった女性に踊ろうと手を差し伸べられている。笑顔で踊りだすのりまき。
「ふとまき〜。この人一人になっちゃったみたい。一緒に踊りましょうっていうんで踊っています。」
いちいち断らなくても見ればわかる。しかし踊るのりまきはそれは楽しそうに踊っているのであった。
しばし踊り、ころあいを見て輪から出る私たち。その後しばらくしてダンスパーティが終わりとなった。
「いや〜、初めは踊るなんてどうしようかと思いましたけどね。やっぱり見るだけじゃわからないことってありますね。なんでもやってみて感じることってあって、踊って本当に良かったって思いますよ。正直疲れましたけどね〜。」
「それにね〜。最初の人の時はなんだか上手く踊れなかったんですが、2回目の人とは相性が良かったようで、なんとか上手く踊ることが出来ました。」逆行したのは相手との相性が悪かったということか?

それからホテルに戻るが、なにせ観光客はみんなダンスパーティに行っていたのでホテルのロビーは混んでいた。列車で来るという中国人旅行者が多く、エレベータにもなかなか乗れそうもなかった。そしてなんと言ってもにぎやかである。中国の言葉がそうさせるのだろうか。フロントではなにやら時間がかかっていて、私達が部屋の鍵を貰った時には中国の人はみんな部屋に行っており待たずにエレベーターに乗れた。
その時点でも疲れはあったが、それよりも興奮の方が強く、初日だし、ETさんが地元特産のおつまみも持参されたとのことで、ホテルの1階で飲もうということになった。
こんなとき、のりまきは
「僕は疲れたので先に寝ます。」
と言うのが常だが、今回はツアーで行きたい場所をなんとか伝えたい。そんなことでめずらしく参加する。
参加してても眠そうなのりまき。一方ふとまきはいつもののりまきと二人での旅行とは違い、お酒を飲む人がいるので、心置きなくビールを飲んだ。
Hさんがのりまきにともふとまきにともというように
「前回ものりまきさんと一緒でしたけど、前回はのりまきさんとは一度もお酒を飲みませんでしたね」と言う。
なんと返事していいのかわからないのりまき。のりまき自身、ガイドさんと飲む、などという発想はなかったのかもしれない。夕食が終わると部屋に帰る、そんな旅行だったのではないだろうか。
「お酒がまったく飲めないんです。」
と変わってふとまきが答える。Hさんは前回、のりまきにどう対処していいのかわからなかったようである。

皆でビールを飲んでいるところでテレビが写っている。国内唯一の放送。途中昔の映画が放映され、その場面に海金剛が写った様子。テレビに向かって座っているのりまきが
「あ!海金剛だ!」などと大きな声で言うが他の人は興味なし。L課長が少々話しに乗ってくれた。そんな話からか今回の日程で行きたい場所をそれぞれが言ったりする。のりまきは
内金剛で行きたい場所を言う。眠そうに参加していても内金剛の話になると目ぱっちり。その後は元気復活となる。金剛山電気鉄道の跡も残っていると言う。寺もある?元山の駅、トンネルなども見れるとL課長が言うとますます元気。ETさんは現代が金剛山観光に取り組む前に平壌から外金剛に行かれたようで、内金剛のことはご存知だったが、まあ、内金剛に行くんだな〜というような感じで、内金剛のどこに行きたい、ということまではこだわってない様子だった。Sさんは金剛山っていうところに行くんだ〜、程度の認識だったらしく「まあ、行けるんであればどこでも・・・」というような感じだった。あまりのりまきが元気になるので
「良かったね〜のりまきさん。もう内金剛の為に来たんだもんね〜」とふとまきが言う。
するとL課長の方でも
「内金剛に是非行きたい人がいると聞いています。」
というような事を言った気がする。
しかし、ツアーメイトがのりまきの内金剛での行きたい場所に反対するより、むしろ良く知ってるな〜というような感じで受け止めてくれたのでのりまきはますます元気になった。のりまきはツアーメイトが他に行きたいところがあって内金剛に時間がかけられないかもしれない、ということを気にしていたのだった。その心配が消えると、
「鉄道跡地などにも行けるんだ〜」と。喜んでいる。
「でも天気が心配ですね・・・。」とガイドさんたちに言われ、ガクンとするが、同じくお酒が飲めないL課長に
「どうです?一緒にクリームでも食べますか?」
と聞かれ
「はい。むしろ僕もそっちの方がありがたいや。じゃあ、ふとちゃん、残りのこれ、飲んで」とふとまきにぬるくなったビールを飲ませ二人でアイスクリームを食べ、テレビでの天気予報を見届けて機嫌の良いままお開きとなった。

後になっての感想だが、この時にはまだまだガイドさんもツアーメイトの方々もそれぞれが緊張もあり、遠慮もあったようなそんな感じだった。のりまきも内金剛に行きたい。内金剛でもこことあそこが見たいと強く思っているが、遠慮しがちに言うのであった。
飲み会はETさんのおごり。ありがたくご馳走になる。
その後はいつもの通り、のりまきが先にシャワーを浴び就寝した。(2004.7.12記)


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